11月26日27日塚口真庵茶事勉強会 炉開き・正午の茶事 レポート

2017年12月15日 02:34

もう12月になってしまいましたが、11月26日27日の塚口真庵茶事勉強会 炉開き・正午の茶事の覚書です。
やはり四畳半の炉の風情はいいですね。大きな炭で、煮えのついた釜から立ち上る湯気。釜の奏でる松風の音。ほっこり、心が解けてゆくようです。
主客の心が寄り添う、素敵な茶事でした。
初亭主役、初正客役をされるかたもあり、それぞれにたくさんの学びがあったことと思います。お客様方のさりげない心遣いがうれしい勉強会でした。

待合ではお茶や武道などを学ぶ人の心構えを説いた、守、破、離の文字が入った利休道歌の色紙をかけました。「規矩作法守り尽くして破るとも離るるとても本を忘るな」

初入りの床には「松樹千年翠」大徳寺     の墨蹟。この禅語には「時人心不入」の対句があります。松の木はいつまでも美しい翠の色を見せてくれているのに、それを見る人はその美しさに気づかない。自然の美しさや豊かさに気づく心、感謝する心。茶人として自ら育んでゆきたい事柄です。

茶人の正月の11月、おめでたい道具組だけでなく、お茶の本を心に刻んでいただけるようにと、この日の茶事の世界を作っていました。さて、皆さんの心にとどいたでしょうか?

今回は大徳寺関連の物を3つ揃えました。強くメッセージを発したいものは重ねて使います。
初座の床の掛物は「松樹千年翠」大徳寺 孤逢庵 卓厳和尚、懐石料理の向付に鯛の昆布〆大徳寺納豆はさみ、濃茶の茶碗には、利休にもゆかりのある大徳寺呉器写しを。
茶ふぉうの祖 村田珠光が大徳寺の一休和尚と出会って、禅の精神性を支柱とした道としてもお茶が生まれることになります。武野紹鴎を経て利休に受け継がれ茶道が集大成されてゆきます。
今もなお当時と変わらぬ茶道が息づいていることに、驚きもあり、ありがたくもあり。
待合の語が強くイメージされます。守り尽くすと言うところが大事で、簡単に破ったものは(破る前より良くなれば意味はない)えてして意味のないことが多かったのでしょう。
11月の茶事につきものの,三べのお話、懐石やお菓子に柿と栗をどこかに使う話、千家を学ぶものは宗旦忌が炭までは銀杏を口にしないお話などもさせていただきました。

<懐石の献立>
向付  鯛昆布〆大徳寺納豆と山葵はさみ 寿海苔 三つ葉軸 加減醤油
          器―和青磁小菊文様
汁   亀甲海老芋 小豆。辛子
煮物椀 紅白真蒸 大黒しめじ 芽連想 ゆず=正法寺椀
焼物  鰆 酒師焼き  器=黄瀬戸扇面
強肴  法蓮草 蟹 薄焼き卵の和え物  器=赤絵 福の字
小吸物 松の実
八寸  からすみ  むかご松葉刺し
酒   貴仙寿 吉兆
湯斗  煎り米
香の物 沢庵 蕪 株の葉

主菓子  亥の子餅


塚口真庵 夕去りの茶事レポ 月よと兎の物語

2017年10月31日 20:58

忘れないうちに、9月24日25日に開催させていただきました塚口真庵茶事勉会の備忘録を。
夕方が去ってゆく時間に行う夕去り茶事は初座が陽で、明るい間に初炭と懐石。中立ちしていただいて、夕暮れの鐘で後座の後ご案内。席入りしていただくと陰の世界。床には掛物と手燭の蝋燭の灯り。点前座近くには短繋の灯り。
大好きな茶事です。

今年は中秋の名月は10月4日です。9月の終わりの茶事ですから、季節を楽しみたいと昨年と同じですが月見の趣向で。
今年は「月夜と兎の物語」の世界をご用意させていただきました。秋の風情を感じていただける道具組、なるべく道具は重ねないで、小さな茶室の中に大きな世界を作り出すのが茶事ではよいとされていますが、テーマになるものは重ねることでお客様の心にも茶事の進行とともに深く伝わってゆきます。
今回は月と兎が随所に登場しました。去年の月と兎とはなるべく違ったものをと、苦心惨憺。(*^-^*)

初座の床は花になりますので、印象的に。両日共に亭主役の方が美しく入れてくださいました猪
初炭の炭斗は、私の自慢の兎篭。久々の登場です。2日目の正客様の気転で、風炉中拝見の時に兎篭をご覧いただいて、「先にたずねなくてよかった」と。こんな主客のやり取りの機微も茶事の醍醐味です。

懐石は、出先の簡易台所ですので、あまり塚口では手の込んだ献立ができないのですが、去りは少し軽めにご用意しますので、ちょうどよかったかも。
向付  茶懐石で大好評だった〆鯖の梨巻き。白板昆布で撒いています。
汁   サツマイモ、合わせ味噌 粉山椒
煮物椀 名残の鱧と走りの松茸 菊花散らし
焼き物 秋鮭幽庵焼き
強肴  葡萄の和え物
八寸  煮アナゴ   枝豆  
お酒は茨城県の地酒  月の井 です。
主菓子はやっぱり楽しい兎饅頭に。水屋コースの皆さん、ほんとに楽しそうに作っていただきました。

日の暮れるのが、日一日早くなり、4時席入りの24日は中立で急きょ露地に蝋燭の灯りをご用意しました。

後座は、幻想的な雰囲気で、濃茶と続き薄になります。
床には、この勉強会のために和尚様に書いていただいたお軸を。表装が間に合ってよかった。
「話尽山雲海月情」

いつも後座では私のお茶話を聞いていただきますが、今回は大黒様と兎の物語、ウサギ年の私の今のお茶物語の二つをの話を皆さまに聞いていただきました。

月には兎がいるといわれます。旅人に姿を変えた大黒天のために焚火の中に身を投げた兎を大黒様は哀れに思い、月の世界に送ったといわれています。ここにお茶の本質を見出すことができます。なかなか兎のようにはできませんが、人のために心を尽くすというところにを抜きにはお茶は成立しないなあと。亭主、裏方、客ともに。

月はそれぞれの求めるお茶の道の先にあるものにたとえられます。私も一年一年、毎月毎月、道を先にぬ向かって歩んでいますが、時として立止まったり、後退することも。
時により、気付くこと、納得すること、パッと世界が開けることも。
今回の御軸の禅語は、山に雲がたなびく様、海に映った美しい月の姿に、全ての自然や宇宙の心を、腹蔵なく全てをここに集う人たちでで語り尽くそうではないかということかと。禅語でありますので、語りつくすことは悟りや仏教の教えなどで、高い修行を積のれた方々のさわやかな時空を感じます。
夕去りの茶事の後座、灯火の元で、私たちも語ろうではありませんか。悟りには程遠い凡人ではありますが、私も茶の道を歩む中でいくつか語るに足る話もできるのではないかと。この禅語はの御軸は昔からほしかったものではありますが、ようやくこの年になって、私がかけても、もう許されるのではないかと自分で考えてののこと。

で、語りたいことは、茶事は社会の縮図であるということ。目指すべき社会の在り方を茶事の中で求めているのではないかと。豊かな時間が流れ、真・善・美を求める中で素晴らしい人格が形成され、周りの人々に心をつくす。平和で和やかで、幸せな社会。なので、茶事が終わったらそれで終わりではなく、異空間ともいえる茶事の世界から現実の世界に戻った時にこそ、茶人としての役割が始まると思います。
そして、このような心を育てるのには、茶事の中だけでなく日ごろの稽古も大事だなあと。稽古嫌いな私が最近、稽古の大事さに改めて気が付きました。自身を律して、人を思う心は稽古を積むことで自然に身についてゆくように思います。

お茶はどこから入っても楽しいですし、亭主をしなければ点前も稽古もすることもないかなとも思いますが、稽古をして、ハッとわかることも多いですね。
今回、お茶話を考えるにあたって、たぶん初めて稽古の大事さをお話ししたように思います。(*^-^*) 

今回初参加の方がお二人いらして、はじめての方がいらっしゃるとお茶の魅力を少しでも多くお伝えしたいと、熱く語ってしまう私です。話が多くて亭主役の方野お邪魔虫かもです。ちょっと反省。

写真は二日間のが混ざっています。お楽しみいただければ幸いです。
次回の茶事勉強会は10月22日、低い椅子席のじないまち峯風庵での名残・正午の茶事。11月26日27日の四畳半茶室塚口真庵 炉開きの喜び・正午の茶事です・
お茶が初めての方、茶事が初めての方も大歓迎です。ぜひご参加くださいませ

五月の塚口真庵茶事勉強会初風炉・正午の茶事「風の森」レポ

2017年06月08日 16:42

5月28日29日、塚口真庵茶事勉強会が終了。心深く受け止めてくださったご参加の皆さまからのメールをありがたく、かみしめているところです
今回のテーマは「風の森」。私のこれまで開催させていただいた茶事の中で、五本の指に入るのではないかと思う茶事の世界をご用意することができました。
まだ若干未消化のところがあったのですが「、かえってそれがよかったかと。
プランナーとして企画書を書くときに気を付けていることは、完璧にしないこと。クライアンとの思いや意見を取り入れて一緒に仕事をしてゆけるように・
茶事も同じで、亭主を支える裏方、そしてお客様との共同作業で、特別な時空を作りあげてゆきます。その中で、互いに磨かれ、磨いた人間力を日常に帰って生かすことで、より良い人間関係や社会を作り出す。そのように茶道は成り立ってきました。日本人の深い精神性、和の心、知恵が生きています。そして何より、楽しい。
初参加の方で、[茶事とは点前を見、道具の作家をたずねるだけで、後は黙っているもの」とおもっていましたとおっしゃいました。らひょっとそう思っている方は多いのかも。
点前や道具は手段であって目的ではありません。なので、そんな茶事は本当につまらない。
茶道や茶事の醍醐味を、まだまだお伝えしてゆかねばと改めて思った茶事勉強会でもありました。初参加野お二人が帰り際に次回の申し込みをしてくださったことは、とてもうれしいことでした。

さて、風の森の茶事は、まずは「風の森」という銘のお酒を見つけたことから始まりました。奈良県御所市の油長酒造の生酒です。金剛葛城山系の原生林深層地下水で仕込まれています。富田林市じないまちの峯風庵からも金剛・葛城山が見渡せます。
じないまちには、この季節に燕がたくさんやって来て、風邪を切って飛び交っています。その光景を見るだけで心が晴れやかになって、幸せが気分になります。
風が吹くと何かが変わります。露地を通って、まっさらな気持ちで席入りするときと同じようにリセットという感覚があります。
今回の茶事では様々な風を感じていただき、森林浴のような気持ちのよい時空をお届けしたいと思いました。
私の手元には「探求の森」と名付けた茶碗があります。イギリスのアンチーク・シェリーのティーセットのシュガーポットを見立てたものです。大きな森の前に扉があって、そこを開いて森の中に入ります。茶道は、この探求の森だと思っています。
森は深くて大きくて、踏み込めば何かと発見し足り出会ったりワクワクすると共に木すばらしい自然の光景や生き物たち。木々の成長の過程、朽ち果てる姿。ちょっと怖い感じもします。
木を見て森を見ないという戒めもありますが、大きくて懐の深い森を探るように、茶道の道を探求してゆきましょうという今回のメッセージです。
懐石料理やお菓子も森をい目イメージしたものにしようと四苦八苦・
最近は生で食べることはできる川魚が手に入らないので、向付は先月の茶懐石料理教室で公表だった鰹のたたきに特製の卵たれをかけて。2日とも鰹を一本づつ買って、朝、水屋コースの方々と一緒にたたきにするところから。やっぱり、作り立ては美味しいですね。
汁には蕗を。煮物椀にはじゅんさいを入れて。焼き物は鴫の形に似ている茄子のシギ焼きを・強肴は山くらげや鶏のささみなどの和え物。八寸は沢蟹とアスパラです。

炭手前には、清風籠と絶滅危惧種のイヌワシの羽箒、香合は何十万年も前に地中に埋まった森の木、埋もれ木を用いました。

風の森、この季節にぴったりの茶事になりました。

次回は6月25日(日)26日(月)伏傘懐石にて、正午の茶事。恵みの雨の頃
蛍に寄せて、ひそやかな明かり 茶の陰陽についてお茶話をさせていただきます。


今月の茶懐石料理教室は、水無月・伏傘懐石です。
うっとおしい梅雨の時期に濃茶まで気持ちがだれないように、懐石をサラサラと進める工夫です。
お椀にご飯を盛り、汁椀で蓋をして持ち出しますが、その姿が傘のように見えるところから、この命名となったようです。ご飯は最初の一文字と次の飯替えの分をこんもりと。食欲のない時期に食が進むように、新ショウガご飯を盛りました。汁はかないrに2回分を持って、お客様に取り回しをしていただきます。
今回の実習のメインは、鮎の背骨を外して踊り串をして炭火焼き。他での葉を吸って濃厚なタデ酢を塗ります。茶懐石は後に残るものはお出ししません。すべて食べられるものをお出しします。鮎の塩焼きの下に笹の葉を敷いてみたくなりますが、持ち帰るお客様の手間を考えてぐっとこらえます。
皆さん鮎との格闘、お疲れさまでした。かんてき(七輪)にお茶で残った消し炭を入れて団扇でパタパヤ。今ではこんな事めったにしませんが、炭d絵や板アユは、とても美味しかったです。
煮物椀は、鱧の葛たたきに梅肉をちょっちょ乗せて、エンドウ豆の摺り流しに。あしらいは管ゴボウと防風です。
梅雨時は、懐石があまり重くならないように。
主菓子は久しぶりに葛をたっぷり入れた水無月にしました。大好評でした。
来月は、6月16日(金)17日(土)18日(日)文月・朝茶事の懐石とお菓子。お菓子は主菓子と干菓子も作りまsすね。

2月の塚口真庵 茶飯釜の茶事勉強会のレポです

2017年03月06日 18:43

茶飯釜・正午の茶事の勉強会、26日28日両日ともに、茶釜で美味しくご飯が炊けました。「草の戸や 住替わる代ぞ 雛の家」松尾芭蕉の俳句を茶事の世界に閉じ込めました。四畳半茶室の釣り釜、f分の1の揺らぎの心地よさ。真庵をお借りするときに、釣り釜が使えるように工事をお願いして本当に良かった。
写真は二日分を混ぜてご紹介しています。

さて、この日程の茶事ですから、テーマは雛祭りかなと考えていたのですが、初日の亭主役の方が武道家でライフコンサルタントの男性です。可愛いだけの雛祭りでは、どうも似あいません。茶事の世界を用意する影の亭主の私にも似合わないなあと。
2月の初めに、東京での茶事にお招きを受けました。大阪の片田舎の富田林寺内町からは前日入りしなくては間に合いません。で、前日に、6代乾山・三浦乾也の足跡をたどるために、隅田川のほとりの言問団子の店を訪れました。ずいぶん昔に、信楽の骨董店で、乾也のこの時期に使える貝合わせの向付を求め、とても気に入っていましたので。乾也は明治の初めに京都から隅田川のほとりに移り、都鳥の文様が特徴の言問焼きをはじめており、言問団子のお皿として使われていました。
その時、ハタと思いつきました。隅田川のほとりには松尾芭蕉の草庵があり、奥の細道の旅に出る前に、この家を小さな娘を持つ家族に貸します。「草の戸や 住替わる代ぞ 雛の家」この俳句を詠んで家に張ってから去ったといいます。ここから、瞬く間に茶事の世界が見えてきました。私には、ほんまにお茶の神様がついていてくださると思います。今回もこの時点でいい茶事になると確信。

この季節、春を待つワクワクする思いもありますが、季節の変わり目には侘びを感じます。茶事は、ただ楽しいだけではなく、心を深く、豊かにする場であってほしいと願っています。ただ楽しいだけのスノッブな遊びであれば、私はお茶を続けていなかったでしょう。お茶でしか味わえない、お茶でしかたどり着くことのできない世界を茶事でお届けしたいと願っています。
松尾芭蕉の句からは、鴨 長命の方丈記にみられる諸行無常の世界観も感じとれます。元禄2年、西行法師500回忌の年に、芭蕉は奥の細道の旅に出ます。芭蕉は西行を師と仰ぎ、私の住む寺内町から程近い、西行終焉の地の弘川寺にも足跡を残しています。
奥の細道の序文「月日は百代の過客にして 行きかふ年も又旅人也」。人生もまた、旅。一日一日の生も、また、死に向かって歩む道。

茶飯釜は、茶室の中でご飯を炊くという楽しい茶事ではありますが、「飢来飯」「渇来茶」という仏性とも思える心が込められています。ご飯を大事にいただくという気持ちも生まれます。楽しい中にも、ご参加の皆様にはそれどれの気づきや思いが生まれたようで、勉強会が終わって、素晴らしいお礼メールが次々に届きました。
私も、感激で、疲れも吹き飛びました。
いつもと違う懐石の進行に、水屋コースの方々は大変だったことと思いますが、水屋の働きがあって茶事は首尾よく進行します。懐石やお菓子作りも、実はスタッフで作ってしまう方が楽なのですが、しっかり大変な部分も体験していただくことで、実際に茶事ができる人が育つ勉強会にしたいと思っています。客コースの皆さんも、今回は、亭主を助けて火吹き竹で炉の炭を吹き火力を上げてご飯を炊き上げるという作業に、「ああ、茶事は亭主と客が一緒に作り上げるということがよくわかりました」と。宇宙観で構成された小さいけれど、限りない広がりを持つ茶室に、その日の世界を持ち込み、亭主、裏方、客というそれぞれの役割を、人を思いながら、よき生き方の探求として実践することで、良き社会の縮図を作り出し、互いに高みを目指す。これが本来の茶道・茶事の意味や意義かと思います。

初座の床には「風吹南岸柳」の禅語をかけました。これは「雨打北池蓮」と対句になっています。同じ時節でも、南の地では優しい春風が柳を吹き、芽吹きを誘っていますが、北の地では冷たい雨が強く蓮を打つ厳しい状況があります。禅の世界では、何事もあるがままに受け入れることが大事と諭されていますが。私は、お茶で高みを見た人は、宮沢賢治みたいですが、苦しんでいる人、悲しんでいる人があれば、そばに行って寄り添い、またすべての人の幸せのために、自身でできることはできるだけでいいので力を発揮する。それが茶人というものではないかと思ったりしています。おなかがすいた人がやって来たら、どなたにもご飯を差し上げましょう、のどが渇いた人が来られたら、どなたにもお茶を差し上げましょう。茶飯釜の心です。

さて、準備が整い茶事が始まります。待合には、芭蕉の旅姿の色紙。初入の床には都鳥の香合を飾りました。後入の床にはお雛様。花入は旅枕です。
当日の茶事の模様は、初日にお付き合いいただきました映像作家で大学教授のFさんが写真を撮ってくださいましたので、いつもより数段素敵な写真がとれていますので、二日目と合わせて、ご紹介します。壊れかけのカメラで、いつも写真が悪いのはカメラのせいにしていましたが、やっぱり腕がないんですね、私。(-_-;)

釣り釜の茶事は、本当に素敵なので、3月にも真庵で釣り釜の茶事を開催させていただきます。桜の頃・正午の茶事。3月はちょっとこむづかしいことは置いといて、ただただ、ゆったり、釣り釜の揺らぎに春を感じて、それぞれの櫻の情景をお楽しみいただけるような茶事にしたいと思います。3月26日(日)27日(月)二日間続けて開催させていただきます。遠路の方は、一日はお客さん、もう一日は水屋でのお勉強をされる方もいらっしゃいます。

塚口真庵茶事勉強会 開炉・正午の茶事の茶事 レポート

2016年12月06日 23:06

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茶事に呼ばれたら、出かける前に硯と巻紙を用意して、帰宅したら帯を解く前に礼状を書くと習ったことがありますが、私は数日、その日の茶事の余韻を楽しんからにすることが多いです。その間に、じんわり心に届いてくるものもあるので。
先日の塚口真庵開炉・正午の茶事の勉強会のレポが遅れましたが、そろそろ発酵してきた感じです。(^_-)
茶事は勉強会といえども、きちんと時間内に収めます。限られた時間の中で、亭主も水屋も、もちろんお客様も持てる能力のすべてを使って、一期一会の茶事の世界を素晴らしいものにできるように。
2日とも後炭の後、釜の煮えが落ちることなく、正午席入りで午後4時に残心の時を迎えました。残心とは茶事の最後の挨拶をお客様一人一人とか交わし、お客様が退席された後、亭主はすぐににじり口を開けて、無言でお客様をお見送りすること。その時に、名残り惜しい思いがするような茶事にしなくては。今回のレポの1枚目の写真は、その残心の写真にしました。ここで、亭主は万感の思いに涙することも。美しい光景です。
薄茶が終わって、最後の挨拶では、お客様はその日に心に響いたことを一言添えて亭主と言葉を交わしてほしい。
1日目のお客様の中に「最後の紅葉狩りをさせていただきました」と、2日目のお客様の中では「大きな炭に火がついて、開炉の喜びが思わず湧き上がってきました」と。
亭主役の方はいらっしゃいますが、茶事の準備をしている影の亭主は私なので、いずれもとてもうれしかった。
昨年は手足の骨折のため、紅葉のシーズンを楽しむことができませんでした。今年は紅葉のシーズンを楽しむことができて、とてもうれしくて、今回の茶事ではあちこちに紅葉を散りばめました。また私は、自身の茶人としての生き方として口切の茶事はしないことにしているので(初夏に摘んだ茶葉を山で寝かせて、11月に手元に・・という環境にないので、お茶屋さんにその日のために摘めてもらうのは、どうも、嘘っぽいように感じてしまうので)11月はいつも炉を開く喜びを皆さまとご一緒にと。炉の炭の大きさに、その火力で煮えのついた釜から立ち上る昇り龍のような湯気に毎年、なんだか感動します。
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床には「松樹千年翠」大徳寺 弧逢庵の卓厳和尚のお筆です。今年の開炉の茶事では、待合に利休道歌の「規矩作法 守りつくして破るとも 離るるとても 本を忘るな」の色紙。改めてお茶について、それぞれが考える機会になればと。大徳寺で、一休和尚と村田珠光が出会っていなければ、茶道に精神が宿ることなく、単なる遊興の文化になり果てていたかもしれません。「松樹千年翠」には対句があって「不入時人意」とあります。松の緑は千年も変わらず美しい緑をたたえているが、それを見る人はその美しさに気がつかない。美しいものやことに気がつける自分になれるように、日々心を磨けるのがお茶ではないでしょうか。この語は続伝灯録という禅の書物にあるのですが、伝灯という言葉をよく私は使います。古き良き伝統を次の時代の人の心に灯を灯すように伝えてゆくには、現在の油を使わなくては灯を灯し続けてゆくことができません。今年も除夜釜がかけられないので、残念なので、ここで書かせていただきますが。行く年の炭の火種で炭手前をして、くる年の若水を釜に入れて湯を沸かす。伝統をつないで新しい息吹をいれてゆく。これも伝灯に通じます。
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これからのお茶は、さて、どのようになってゆくのでしょうか。今年の茶人の正月への私からのメッセージです。
口切はしないとはいえ、お茶の心が生きるよき文化なので、席中では口切のお話はさせていただいています。皆さまも口切の茶事はどこかで体験はしてほしいとも思います。
初炭で使った香合は、織部の久寿屋です。田舎の粗末な家を模したものですが、茶人の正月によく使われる織部香合に、この字を当てたのかと思います。この香合が後の懐石の八寸の栗と主菓子に添えた柿の話につながってゆきます。
シンフォニーのように時間の経過に沿って茶事の世界が完成してゆきます。心の琴線が小さな音を奏で、次第に大きな感動が生まれます。茶事って、本当に素敵ですね。
茶事は、そこに参加した人にしかその醍醐味は伝わらないのですが、諸事情があって参加できなかった方にも、少しお裾分けがしたいといつも思い、レポをしています。お茶の魅力を伝えてゆくのは私のライフワークですし、こうして公開することによって、私はまた更なる創造へと歩むことできます。茶事をするようになって25年になりますが、毎回まったく同じことはしたことはありません。お客様を思い、一期一会のおもてなしをと務めています。茶事は創造してゆくことに醍醐味があると思うのです。
i一日目の27日はあいにくの雨でしたが、お茶を初めてまだ4年目というご亭主の凛とした濃茶では、釜の奏でる松風と、濃茶を練る茶筅の音、そして、雨音が、至福の時を刻んでくれました。その日のもう一つの本日の感動。お客コースで参加していただいた、Nさん。何と二日前に転倒して右手首骨折。ギブスをはめてのご参加。ありがたいと思います。亭主はお客様によろこんでいただきたいと、一期一会の茶事の世界をご用意します。ギブスのお客様も、それがわかっていらっしゃるので、無理を押してご参加いただいたのだとおもいます。水屋ではこのお客様に大小二つのスプーンを膳に用意してくださいました。席中では、正客が隣のギブスの連客を気遣って、何かとサポートをしてくださいました。人を思うことが、茶事の第一歩です。ほんとうに、うれしかった。こんな茶事の勉強会を開催させていたいただけることがとても幸せです。

では、今回の茶事の勉強会の写真をお楽しみくださいね。写真は27日と29日のものを一緒にアップさせていただいています。
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