2月汎庵茶事講座 茶飯釜の茶事レポート

2011年02月14日 05:01

2月汎庵茶事講座 茶飯釜の茶事レポート

2月3日~6日まで、万博跡地日本庭園の非公開茶室汎庵で、茶事講座の第11回目を開催しました。
一年で一番寒いのがこの時期。
汎庵までの遠路、この季節にいらしていただけるだろうかと心配しておりましたが、おかげさまで満席にて開催することが出来ました。キャンセル待ちで、ご参加いただけなかった皆様には、本当に申し訳ないことでした。
昨年は釣り釜の季節ということで3月に幻の茶事「茶飯釜の茶事」をさせていただきました。火吹き竹でフ~フ~と風を送って火力を上げて茶釜でご飯を炊く茶事は、寒い季節にもピッタリです。

10時の水屋コースの開始まえに、いつも9時前には会場入りしています。

汎庵茶事講座2月茶飯釜

千里庵の方々が、朝早くに、庭園で切ってきてくださった茶花が裏口に。いつも茶花では苦労していますので、これが一番ありがたい。

2月は節分の趣向にしました。茶事は待合から始まって、お見送りまで、一つの世界で構成されていますので、懐石料理やお酒、お菓子も茶事を構成する大切な要素です。

汎庵茶事講座2月茶飯釜

水屋コースでは、懐石料理のフルコースとお菓子作りの実習をして、亭主、半東、水屋(台所方)に分かれて、茶事の進行をしてゆきます。
半東さんは、火入れの炭もしますが、以外にこれをしたことがない方が多いですね。

汎庵茶事講座2月茶飯釜

お客コースの方は11時40分に待合集合。
汲出しをお出しして、茶事が始まります。

汎庵茶事講座2月茶飯釜

蹲を使って、席入り。床の掛け物は「徳を以って福を招く」大徳寺 誡堂和尚の墨蹟です。
ご飯の炊ける香りを楽しんでいただくために、初炭では香は炊きません。

汎庵茶事講座2月茶飯釜

炭の入れ方も、いつもとは違います。

汎庵茶事講座2月茶飯釜

洗い米を釜に。サラサラという音もご馳走です。

2月汎庵茶事講座 茶飯釜の茶事レポート

まずは火吹き竹の使い方をレクチャー。こんな機会ですので、皆さんにも吹いていただきました。

2月汎庵茶事講座 茶飯釜の茶事レポート



ご飯が炊けるまでに、まずは向付で一献。お酒は千葉の福祝です。蟹とりんごと白菜などの和え物。新作です。
汎庵茶事講座2月茶飯釜


煮物椀も先にお出しします。久しぶりに作った牡蠣豆腐の薄葛仕立て、しょうが風味。

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ご飯はまだかな、まだかな・・・。のぞいてみたいですが、炊き上りまで蓋は取れません。
さあ、釜を下ろして、汁を炉にかけたら、ご飯の蓋を取りましょう。
汎庵茶事講座2月茶飯釜

2月汎庵茶事講座 茶飯釜の茶事レポート



湯気が立ち上り、ご飯の香りが茶室を満たします。手送りでご飯を送って、汁を
取り分けたら、さあ、召し上がれ。思わず、「どう、どう、美味しい?」と、催促してしまいました。笑。

汎庵茶事講座2月茶飯釜

汁の入った「かないろ」をはずしたら、炉には、強肴の鍋をかけます。節分には邪気をはらって福や運を呼び込みますから、強肴はちょっと遊んで運(ん)盛り合わせおでんにしました。だいこん、にんじん、こんにゃく、ぎんなん、とりだんご。皆、んがつきます。

汎庵茶事講座2月茶飯釜

強肴前には、寒ブリの照り焼きを。
八寸は、鰯の甘露煮芥子まぶし、タラの芽の衣揚げ。
なかなか、バランスのよい懐石メニューになりました。

主菓子は、練りきりの「雪間の草」蓬の香りが春を呼びます。

後座は、気分を変えて、凛とした濃茶。

2月汎庵茶事講座 茶飯釜の茶事レポート

後炭では、さすがに火吹き竹の威力。胴炭が細くなっていました。初日は胴炭はそのままで、輪胴止めに、2姫からは胴炭を割って、輪胴がつげました。

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薄茶は、和やかに。

汎庵茶事講座2月茶飯釜


節分の茶事として、まず、頭に浮かんだのが、お寺でよく見かける五行の色でした。

汎庵茶事講座2月茶飯釜

香合は和三彩の草紋で黄色と緑、水指に波佐見焼き波千鳥地紋の白、黒樂茶碗と古瀬戸の茶入で黒、寺道具であった時代根来の薄器の赤。棚も木地の四方棚にして、お寺におまいりした後の清々しさをと思いました。

節分の趣向として、鬼の置物を蓋置きに取り上げました。釜の蓋が載りにくいので、亭主の皆さんからは顰蹙をかってしまいましたが、お客さまからは笑いがもれて、4日とも鬼さんの拝見を請われました。
鬼門は牛寅の方向なので、鬼には牛の角があり、寅の皮のパンツをはいてるのという説明に、あれ、この蓋置の鬼さんは寅のパンツはいてるかしらと、よく見ていただいたら、ちゃんとはいてました。笑。

干菓子はちょっと遊んで、鬼とお多福の箱に、小さな豆板と手作りの州浜の柊を入れました。カルペディエムの茶道塾でも同じものを使いましたが、皆さん、楽しんででいただけたようです。

茶道塾1月30日節分

2月の講話のテーマは「自分のお茶を見つけましょう」でした。私自身のお茶を例にして、お話をしましたが、この茶飯釜にも、私のお茶の核となるものがあります。一番多くのことをお教えいただいた師からは、禁じられていた茶事です。茶飯釜は楽しいけれど、砕けすぎるきらいがあるので、茶事になるかならないか、難しいところなので、中途半端な修行中の身では、やめておきなさい、と。その言葉は今もしっかり心に持ちつつの私の茶飯釜です。
茶事は主客ともに一期一会を通じて、心を通わせ、また高めあう、日本が生んだ世界に誇ることができる精神文化の実践の場です。
数寄者としてのお茶を気楽に楽しんでいた私ですが、12年ほど前から、茶事の指導をさせていただくことになりました。勉強会では、互いによく知る者だけでなく、この日初めてお会いする方もいらっしゃいます。茶人同士の心の交流どころか、緊張でコチコチに硬くなった方、一言も言葉を発することが出来ない方などもいらっしゃいます。ただ、懐石料理を食べて、お茶を飲むことが茶事ではありませんので、いかにして、茶事の時空を一緒に作っていただくか、楽しんでいただくか、私なりに考えて、少しでも気持ちを樂に持っていただくこと、笑顔になっていただけることを茶事のなかに盛り込むようになりました。身に余る高価な道具は用意できませんが、アイデアや取り合わせの妙で、心が和む、そんな茶事の形が出来てきました。それを、皆さん、森ワールドといって、楽しみに来てくださるようになりました。

汎庵茶事講座2月茶飯釜

お茶の稽古や本に書かれている茶事の形、それは、枠組みでしかないと思います。家を建てるときの柱です。しっかりした柱がないと家も立ちませんから、枠組みは重要です。でも枠組みだけでは家にはなりません。壁やドアや窓、カーテンや家具などのインテリア。枠組みを埋めてゆくのが、自身です。お茶は他の稽古事とは違って人生や生き方そのもの。その時々で、かかわり方や密度も違うかも知れませんが、長く続けることで、自分自身のお茶が見えてくるのではないかと思います。

汎庵茶事講座2月茶飯釜

2月の茶飯釜のご飯、4日とも、美味しく炊けました。
昔は重労働だった、かまどでのご飯炊き。今では、皆さんが楽しいといって、笑顔で火吹き竹を吹かれます。
しばらく吹いていると、お釜の中でゴトゴトとお米が踊っている音がかすかに聞こえます。大きな湯気がでてきたら、鎖を上げて蒸らしにかかります。湯気がおさまったら、炊き上がり。4日とも、火の回り具合が違いますから、炊き上がりの時間も違います。電気釜のスイッチをポンと押しておくだけでご飯が食べられる便利さもありがたいですが、気遣うということ、手間暇かけるということ、炭と鉄のお釜で炊いた本当に美味しいご飯の味を伝えてゆくということ。砕けた茶飯釜ではありますが、有意義な茶事になったのではと、一人、思っております。

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