汎庵茶事講座7月朝茶事「天神祭り」の茶事レポ

2011年07月29日 15:12

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7月の汎庵茶事講座が終わり、骨休め。
疲れがたまると体中が、そして本当に骨までバリバリ音を立てているようで、骨休めの言葉に、思わず笑ってしまいます。
今回の茶事は朝茶事。
残念ながら予定が合わなくて参加がかなわなかった方々にも、このレポートでお楽しみいただければ幸いです。
写真を撮り忘れているものも多々ありますし、後座のお茶の時間には、風情を壊すようで写真が撮りにくいですし、写真ではお伝えできないものがお茶なので、後座の写真はちょっと少ないですが、お許しを。

暑い夏には、早朝のまだ涼しさの残るうちに、さらりと茶事を行います。暑い夏だからこそ、涼しさのおもてなしが心に響きます。
やはり、朝茶事は、名水点がご馳走です。名水が湧き出る山中には涼やかな風が吹いていることでしょう。そんなイメージやご亭主が早朝から水を汲みに行って下さった働きやお気持ちが、深いおもてなしになります。
7月追加


お茶と言うとお茶の稽古をすることだと思われている方もありますが、普段の稽古は、茶事をするための準備であり修行であるのですが、茶事をされる方が少なくなって、本来のお茶の形が見えにくくなっているのが現状です。
どなたにも、茶事の世界を体験いただける、そんな場を作りたいと、汎庵茶事講座を開催させていただいています。

汎庵茶事講座は勉強会ですが、なるべく稽古のための稽古茶事ではなく、本番の茶事に近い形で、亭主、お客、水屋(裏方)の体験をしていただきたいと願っています。無理はいけませんが、その時々、それぞれの方がそれぞれに出来ることの精一杯にトライしていただくことできれば、気持ちのよい茶事の勉強会になります。
今回は3日間の開催でしたが、いずれの日程も、ご亭主役もしっかり勤めていただき、お客様も皆さま笑顔で応えていただき、水屋コースの皆さまも亭主を支える裏方の本分を全うしていただき、いい茶事になりました。
今も、茶事の興奮冷めやらずといったところで、茶事のあれこれを反すうして、余韻を楽しんだり、反省したり。

私も本番の茶事と思って毎回取り組んでおりますので、おもてなしの世界をご用意するには、想定のお正客が必要です。茶事はお正客のために催すものですから、正客へのおもてなしをあれこれ考えながら準備をしてゆきます。
講座ですので、役割は順に体験していただいておりますし、数日続けての開催になりますので、その日の正客役というのではないのですが、私の中ではお正客を心に決めて、茶事の世界を作っています。

7月汎庵茶事講座

今回は、実は、新潟からと小笠原の父島からご参加いただける方がいらっしゃるとのこと。遠路、大阪の暑い夏にいらしていただくことに、ありがたたいなあという気持ちで一杯になりました。
おりしも大阪は天神祭りの真っ最中。
自身で茶事を初めて15~6年になりますがまだ、天神祭りの茶事はしたことがありません。
是非、この機会に、天神祭りの茶事でおもてなししよう、大阪の夏をお楽しみいただこうと思いました。
天神祭りの茶事ならば、お正客だけでなく、連客の皆さんにも判りやすく、きっと会話も弾むことだろうと。

祭りのメインは夕刻からですが、24日の朝には竹を左右に立て注連縄を張った(斎竹)船が堂島川に浮かび、鉾流神事がおこなわれます。鉾と一緒に罪穢れを移した人形を川に流します。祭りとともにまっさらに生まれ変われるという、人の思いが、なんとなく愛おしく感じられます。
祭りには、神事の靜と、神輿を担いだり、花火を上げたりの楽しみの動があります。
茶事にも靜と動があります。さて、いかなる茶事になりますやら。
まずは、天満の天神さんにお参りして、学問の神様菅原道真公に、どうぞお知恵をお授けくださいと、お祈りするところから茶事は始まりました。

待合の床には、「神」の字の色紙、祭り太鼓、流水文様の能の舞扇に天神祭りの鉾流れ神事で流す人型を飾りました。
待合では、待合の掛け物と茶室の掛け物の違いをお話させていただきました。

冷たいレモン水のくみ出しをお召し上がりいただき、腰掛待合へ。
朝茶事では、打ち水もたっぷり、簾や枝折戸、にじり口の戸もたっぷり水で濡らして、涼を呼びます。茶室の窓の障子もはずしておきますが、汎庵の丸窓ははずすことが出来なかったので、少し窓を開けて簾を見ていただき、涼を感じていただきました。
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初入りのご挨拶も、朝茶事ですから「早朝よりのお出まし、ありがとうございます」「お出ましにくい時間にご迷惑かと存じましたが~~」など、朝のご挨拶に。「おはようございます」とお客様もお応えいただきました。
汎庵備え付けの梅文様の風炉用の風炉先、どうにも使いにくかったのですが、今回は天神祭りなので、ぴったり。菅原道真公は、梅がとってもお好きでしたので、天神さんの紋章は梅なんです。
7月汎庵茶事講座

7月汎庵茶事講座


早朝からの茶事ですので、まずは炭手前から始まります。この間に水屋は、短時間のうちに朝ごはんの準備です。
香合は、八角鳳凰文様。祭りの主体、天神さんの御神霊を移した御鳳輦の上には鳳凰の飾りが。御鳳輦が通り過ぎるまでに願い事をするとかなうという言い伝えがありますが、鳳凰の香合がお客様の間を拝見に回っている間に、しっかり願いごとをしてしまいました。願い事は、内緒です。笑。
朝茶事ですので、陽が高く上がる前には終わることがおもてなしですので、後炭は省略しますので、初炭で、風炉中拝見。水注もあります。
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懐石では、天神祭りの名物や祭りにちなんだお料理をご用意しました。
向付は、ざくざく。鰻と胡瓜の和え物がうざく。これはよく知られています。鱧と胡瓜の和え物がざくざくなんです。たぶん大阪人しか食べないのではないかと思われる鱧の皮を焼いて刻んだものに、下ごしらえをしっかりした胡瓜や茗荷などの和え物で。
7月汎庵茶事講座


お汁は、南瓜。真夏の味わい、八丁味噌仕立てにして冷たく冷やして。山椒を吸い口に。
お酒は、大阪の玉の光。玉神輿にちなんでご用意しました。
7月汎庵茶事講座


煮物椀は白天のおつゆ。白天は、白いさつま揚げにキクラゲが入っています。キクラゲが雷をあらわしているとのこと。添えは貝割れ菜と決まっています。昔は大根の間引菜だったそうで、これもぎざぎざなので雷。道真公の無念が転変地異を起こしたとの謂れから食べられるようになったお料理です。懐石風に揚げ真蒸で作りました。
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代えのご飯は、祭りの直会で食べられる白蒸しをちょっと小ぶりにして。竹の皮で巻いてあるのですが、籠飯器に竹の皮を敷いてお出ししました。梅干が添えてありますが、梅干の種の中のずいを天神さんと呼びます。小吸い物の実にしてもこの時期いいものです。
7月汎庵茶事講座


焼き物を略して、強肴。これまでに使った食材を生かしてお出しするのがお約束です。
南瓜の煮物、穴子の昆布巻き、三度豆を盛り合わせました。
7月汎庵茶事講座


三度目のご飯は、飯器に蓮の葉を敷いて、たっぷりと。蓮の葉っぱの緑がさわやかです。日本庭園の蓮池から千里庵のスタッフが早朝にとりに行ってくださったものです。
7月汎庵茶事講座


八寸は、蛸の照り焼きと枝豆。蛸も天神祭りにはつき物です。
7月汎庵茶事講座


何度やっても千鳥の杯は覚えなれないといわれますが、お茶は点前もそうですが、覚えるのではなく、自然に身に付くといった形がよいように思います。繰り返し、ご体験していただければと・・。

朝茶事のメインのご馳走は香のもの。5種か7種、たっぷりとご用意します。
5種のつもりが、6種になってしまいましたが、お許しを。

主菓子は、道真と銘をつけた淡雪梅酒羹です。卵白の淡雪の美しさ、梅酒の香りと梅酒漬けの梅の実を刻んだ食感が魅力のお菓子です。
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後入りの床には、天神祭りの団扇を小さなガラス瓶にくくりつけて花入れとしました。
お花は、日本庭園の水辺に咲く花をたくさんご用意いただきましたので、ご亭主役の方は、選ぶのに苦労^をするという贅沢。汎庵ならではの茶事の醍醐味です。
7月汎庵茶事講座


名水点のしつらいは、7世松月吉向 作の、かなつるべの水指に、小さな御幣をつけた榊を飾って、名水のしるしとしました。不器用な私の御幣作りは、見るも泪、語るも泪。でも、何とかがんばりました~~。
亭主泣かせの道具でしたが、お客様にはおおむね好評のようでした。笑。
7月汎庵茶事講座


茶入は、300年ほど前の海上がりの安南。長い間、海の底に沈んでいたと想像するだけで、少し涼しくなっていただけるかなと。
講座では、5人分の濃茶を練っていただくのですが、なかなか5人分の濃茶を練る機会は少ないかと思いますので、5人目の濃茶は亭主役の方に相伴していただいています。茶事では、互いの思いやりということもあって、練り加減が不具合でも、たいがい褒めていただきます。こんな機会に、どんな濃茶を自分が練っているのかを確認していただければと思ってのことです。
参加者全員に濃茶を召し上がっていただきますので、水屋では汎東役の方にも、濃茶を練っていただきます。ここで、初めて濃茶を練る方もいらっしゃいますので、遠慮せず、何でもトライしていただきますように。

続き薄で、薄茶を。棗と茶碗を手を交差して置合わせるところが、なんとなく好きで、ワクワクします。
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棗は、私のデザインで池ノ浦大紀先生にオーダーした、六瓢(無病息災にかけている)蒔絵の白漆。これだけ真っ白の漆は、世界でただ一人この方だけの技です。
茶杓の銘は「歓」、祭りのエネルギーを感じます。
薄茶のお茶椀は総てガラスにしました。中には、時代のカキ氷の器もまぎれています。
懐石の器にもガラスを使いましたが、天満の天神さんの境内には、ガラス発祥の地という碑もありました。薩摩切子が有名ですが、大阪にも切子の伝統があったようです。
干菓子は、私が作った舟の落雁と、四天王寺河藤製の水。船渡御のイメージで。
7月汎庵茶事講座


講話のテーマは「茶事の時間と進行」。まずは、時間の大切さに気づかされるのが茶事であること、特に、陽が高くなるまでの限られた時間に催される朝茶事では、時間の配分や、水屋もお客も、時によりサラサラと動くことも肝要です。特にお客様は、連客にも心して、茶事の流れが途切れないように、場を読む、空気を呼んでゆくことも大事です。亭主は、茶事にいらしていただいたということはその方の人生時間をいただいたことになりますので、茶事の時間には責任があります。よく茶事は亭主の舟に乗るという表現を使いますが、舟に乗ってしまえば、お客は勝手に降りることは出来ませんので、亭主は、おもてなしに心するということなのでしょう。ただ順番に茶事の流れを追うだけでなく、茶事全体の時間の使い方にも、配慮するように。と言うようなお話をしましたが、その日そのとき、その日の参加者によっても、話の内容が変わってきます。まさに、茶事は一期一会ですね。

サラサラと茶事を楽しむというのは、慣れないとなかなか難しいことですので、茶事ってどんなこと?と汎庵茶事講座をお訪ねいただきました皆さまに、是非一度だけでなくなるべく回を重ねてご体験いただきますように。回を重ねるごとに、汎庵やご参加の皆様とも親しみ、お茶への理解も深まり、楽しさも倍増します。ご無理のない範囲で、ぜひ、汎庵茶事講座は続けて受講していただければとてもうれしいです。
ご参加の皆様同志も、ぜひとも、茶人同士のお付き合いがここから始まり、茶事で呼んだり呼ばれたり、水屋を頼んだり頼まれたりできるような、そんな茶事の文化の継承が出来ればと願っています。

さてさて、残心(6月の茶事講座のレポをご参照ください。)の前に、天神祭りのあちこちでおこなわれる手打ち=大阪〆を、させていただきました。3日ともに音頭を取ってくださる方がいらして、めでたく大阪〆ができました。
「打ちましょ~パンパン  もひとつせ~ パンパン 祝うて三度 パンパン パン」
ありがとうございました~~。

次回の汎庵茶事講座は9月。「月を待つ」夕去りの茶事を開催します。講話のテーマは「指月 日々の行」。
夕去りの茶事は、初座は明るいうちに、後座は幻想的な蝋燭の灯りでお楽しみいただきます。水屋コースご参加の皆様も後座からは茶室に入って一緒に楽しんでいただけます。
勉強会ですので、いつもと同じ時間に開催します。(後座は茶室を暗くして開催)
日程は、9月8日(木)9日(金)10日(土)11日(日)です。
詳細ご案内・お申し込みは下記から。
http://www.senrian.com/hanan_chaji.html




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