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12月の汎庵茶事講座「夜咄の茶事」レポート

2010年12月26日 18:04

汎庵茶事講座12月 汎庵茶事講座12月

冬の庭園には冬ならではの美しさがあります。
葉を落とした裸木たちの造形の美しさ、山茶花や椿の花。今回は、寒桜の花も見つけました。
寒い季節、遠路はるばる、万博日本庭園の汎庵までお越しいただけることに、心から感謝して開催させていただきました茶事講座でした。
蝋燭の灯りで楽しむ幻想的な夜咄の茶事だけに、沢山のキャンセル待ちの方が出てしまい、ご参加いただけなかったことを心苦しく思っています。
是非、またの機会に。
公共的な会場のため、実際に夜に開催することはできませんので、ひと工夫。
茶室は雨戸を閉めて電気を消せば暗くなるのですが、露地はなんともなりません。
いつもご参加いただく若い女性が、立礼席の電気を消して腰掛待合にしたらどうですかと。
すごい! いただきです!
で、千里庵スタッフのお二人が、がんばってくださって、見事、露地、腰掛待合、蹲ができました。
これで、すっかり夜の気配。手蜀の交換にも、気持ちが入ります。灯りのテストもばっちりできました。
12月汎庵茶事講座


水屋コースは10時から、懐石料理とお菓子の実習。
夜咄の茶事は、寒い季節、しかも冷え込む夜の茶事ですので、いかに暖かくおもてなしをするかが、ポイントです。
半東さんも、いつもの火入れの炭の準備だけでなく、手あぶりや火鉢の炭の準備、蝋燭の準備など大忙しです。水屋担当は、最初のお膳が勝負です。温かいご飯とお汁をお出しするだけでもたいへんなことなのに、さらに、向付けも温かいものをご用意します。3つの温かいものを同時をお出しするのは、至難の業なんです。夜咄は、たいへんですが,半東さんもお水屋さんも、しっかり取り組むと達成感があって、大きな喜びも得られます。

さて、席入りの時間。待合に甘酒の汲み出しをお出しします。待合の掛け物は、寿老人が大黒さまに散髪してもらっている大津絵「寿老人、こじかの年も暮れにけり」の文字。こじかは小鹿。小鹿はころくと読めます。小さい禄高であった今年ではあるが、何とか年を越すことができそうだというユーモアです。私の心境でもあるかな。笑。

特設の腰掛待合に進んでいただくと、お客さまの「ホオ~~」という感嘆の声。やったね!

汎庵茶事講座12月

露地の灯りは、皆見立てのもの。古い糸巻きに小皿を置いて、蝋燭を。ガラスの筒に墨絵の和紙を張って水を入れ、フローティングキャンドルをいれたり。何処にどれだけと言う決まりはありません。暗い中、移動するのに危なくないように設置してゆきますが、明るくなりすぎてはせっかくの夜のイメージが台無しになります。
亭主は蹲を使って、水を足し、湯桶を運んで、迎え付けにでます。

汎庵茶事講座12月

手蜀の交換は、夜咄の醍醐味です。

汎庵茶事講座12月

初座の床には「無事是貴人」。お決まりの語ではありますが、本来禅語の意味は、あるがままにうけいれること、それが自身の仏性を生み、また悟りの境地へと誘う、そのことがとても尊いのだよ。簡単なようでできないことかもしれません。
12月汎庵茶事講座


いろいろのご挨拶の後、前茶を差し上げます。ここではお菓子は出ませんので、待合の汲み出しがお菓子代わりになりますので、何か少し甘いものをご用意します。
続いて、初炭手前。夜咄は少し砕けた茶事になりますので、後炭は省略します。羽箒は縞ふくろう。夜ですものね。香合は鐘です。除夜の鐘の音を聞くのももうすぐです。

汎庵茶事講座12月 汎庵茶事講座12月


炉縁は、京都三条大橋の古材で作られた木地のもの。師走の恒例の京都の行事、南座の顔見世興行も今、興行の真っ最中です。
師走のこのひと時を、大事に思っていただけたらと、師走の趣向もあちこちに。

続いて、懐石です。広間の茶事では膳を取り込む必要がないので、縁の外に置き、自身が少し前に出て懐石を頂きますが、夜咄の茶事は普通は3名様くらいのお客さまで四畳以下の小間がふさわしいもの。今回は小間の勉強をしていただきました。小間の懐石膳は半掛かりに取り込みますが、夜咄では蝋燭を使いますので、ご亭主が動きやすいように、縁の中に膳を取り込みます。3名様くらいのお客さまでしたいのは、山々ですが、会費の設定をどなたでも少しがんばっていただけたら参加できる金額に抑えたいという私の希望もありまして、汎茶事講座の参加人数や方法が、こんな形になっています。ご了承のほどを。

向付は、雲子と百合根の茶碗蒸。器は江戸時代の徳川尾張藩の御用釜、尾州焼のお茶漬け茶碗を使いました。お酒は東北地方の雪の茅舎。燗をつけてお出ししました。
汎庵茶事講座12月
汁は丸抜大根。煮物椀は海老揚げ真蒸。この揚げ真蒸はちょっと難しい。柔らかくて扱いにくいのですが、かたく作ると薩摩揚げになってしまうもで、要注意です。
汎庵茶事講座12月

焼物は地どりの桑焼き。強肴は、葱鮪鍋。温かいものを召し上がっていただけるように鍋仕立てです。
汎庵茶事講座12月

夜咄では、もう少しお酒と言う思いで、徳利と石杯がでることもあります。亭主相伴ののち、蕎麦米の小吸い物がでて、千鳥の杯。八寸はふぐの一夜干しと銀杏の翡翠煮松葉刺し。

途中、膳蜀の芯を切るという作業があります。これは近くにいるお客様の仕事です。芯を切ると、灯りが明るくなります。
汎庵茶事講座12月

湯斗と香の物で、禅宗のお坊さんの食礼に準じて、お椀をきれいにしていただきます。

主菓子は、蒸篭ごと蒸した、柚子蒸し饅頭です。中の餡が熱いので、気をつけて召し上がれ!
汎庵茶事講座12月

中立ちの間に、炉の火移りを見て、炭と香を足し、床には、石菖を飾ります。
汎庵茶事講座12月

準備が整うと、鐘鉦を打ちます。先ほどの香合の鐘とイメージが重なります。心に沁みる鐘が打てたらいいですね。

濃茶は、厳かに。続き薄で、楽しく。干菓子は、富山の五郎丸屋の薄氷と、金柑の砂糖漬けを、格を落としてざっくり盛り付けました。

汎庵茶事講座12月

汎庵茶事講座12月

夜咄ですから、お話が弾まなくては面白くありません。お茶になると皆さん、無口になられるのはどうしてでしょうか? 感じたこと、思ったこと、一人一人が口に出していただかないと、おもてなしをしている亭主側は、がっかりです。お茶は、五感と見えないものを見る第六感を養う、人間力開発プログラムでもありますから、せっかくのチャンス、自身でしっかり鍛えていただければと願います。特に、蝋燭の灯りのもとでは、感性が鋭くなり、また磨かれるものです。

講話のテーマは「蝋燭の扱いと魅力」でした。今回は、水屋コースの方にも、蝋燭の醍醐味のところは総て一緒に見ていただき、そのつど扱いについては説明をさせていただきましたので、講話は短めに。私の蝋燭の思い出を話させていただきました。あんまり、人様に言うべき話でもないのですが、子供の頃、父が会社をつぶして、急に貧乏になりました。いつも家族の団欒は夕食後にイギリスの紅茶と洋菓子が用意されていましたのに、没落後は、一枚のビスケットと脱脂粉乳をといたものになりました。悲しくて涙が出そうになったとき、母が電気を消して一本の蝋燭をつけてくれました。暗闇を照らす蝋燭の灯りは、暗くなっていた私と妹の心の中にポッと灯りました。家族が一緒にいるだけで幸せなんだなあと。なんだか、一杯のかけ蕎麦みたいな話しになりましたが、蝋燭の光は私には幸せの印です。
12月汎庵茶事講座

幸せは仕合わせ。仕えあう気持ちがあるところに幸せがある。お茶も、まさに仕えあう気持ちから成り立っています。
汎庵茶事講座は、勉強会ではありますが、毎回、私が水屋コースの方もお客コースの人も参加してくださる一人一人をおもてなしする本番の茶事だと思って茶事の世界を作っています。
茶事の楽しさ、茶事の深さを感じ取っていただければ幸いです。
蝋燭の灯りで見ていただいたシーンや道具の一つ一つは、写真や説明コメントではなかなかお伝えすることができません。参加された一人一人のお心に何かが残っていれば幸いです。
最後になりましたが、このたいへんな夜咄の茶事の準備、進行、アシスタント講師、後片付けを担当いただきました、千里庵スタッフのお二人に、心から感謝いたします。
次の茶飯釜もたいへんですから、よろしくね。




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コメント

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    ささやかな気配り、演出を感じ取ってくれる人がいるという茶事は、とても素敵ですね。

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