塚口真庵茶事勉強会 茶飯釜の茶事

2016年03月08日 00:09

今年も寒い季節に、心温まる茶飯釜の茶事の勉強会を開催することができました。
DSC03282_convert_20160308024118.jpg


今年はお水取りの世界をご用意しようと思っていました。
一番うれしかったのは、仏の供養に、須弥壇に供える散華ができたこと。
今年は椿が少なくて、花托鉢をしても少ししか集めることができませんでした。
ご縁というのか、お茶の神様のご加護なのか、茶事の当日には、いろんな種類のとても美しい椿をたくさん届けてくださる方がいて・・。
ご参加の皆さまに、美しい散華の光景を目に焼き付けていただくことができました。
DSC03207_convert_20160308023608.jpg

DSC03212_convert_20160308023649.jpg


初座の床には、黄檗山 行朗和尚の墨跡「心明似鏡 願深如海」をかけました。菩薩さまは、鏡のように曇りのない心で、衆生を救いたいと、海のように深い願いをもってくださっているという、ありがたいうお言葉です。
DSC03206_convert_20160308025651.jpg

奈良東大寺二月堂で執り行われるお水取りは、正式には、十一面観音菩薩悔穢といい、二月堂のご本尊の十一面観音に懺悔をし、天下安穏、五穀豊穣、万民快楽などを祈る行事で、1250年以上も毎年かかすことなく続けられている行事です。
本行は3月1日から14日までですが、2月から準備のためのさまざまな行がおこなわれているそうです。大きなお松明が振りかざされる中、俊敏に走り、激しい五体投地の行を行う、連行衆の祈りを、ありがたいと思います。私は宗教は持ちませんが、宗教を生み出した人間の思いを愛しく、感じます。

茶飯釜の茶事という楽しくて、砕けた茶事にはテーマが重すぎると思われるかもしれませんが、茶飯釜はただ楽しく、酔狂な茶事ではないと、私は思っています。
茶飯釜には「飢来飯」「渇来茶」という文字が刻まれています。おなかがすいた方にはどなたにもご飯を差し上げましょう、のどが渇いた方にはどなたにもお茶を差し上げましょう。菩薩の心に通じるものがあります。
お茶は自身の楽しみにとどまらず、人や社会を思い、自身の持つ能力を最大限に生かして。自身のためにも他人のためにも能く生きるというのが茶人としての生き方です。茶室の中だけがお茶ではなく、茶室で磨いた感性や知性や優しさは、社会の中でちゃんと生きなければ・・・。お茶の啓発活動をライフワークにしている私の祈りです。

さてさて、21日23日と二日間開催させていただいた茶飯釜の茶事。両日ともに美味しいご飯が炊けました。いつもより多くの炭を入れ、主客で力を合わせて火吹き竹で風を送り、炭の火力を上げると、しばらくすると釜の中でゴトゴトとお米の踊る音が聞こえます。吹きあがったら、鎖を上げて火加減をして、湯気が収まったら、ご飯の炊きあがりです。出来上がったご飯は、天地の恵みの象徴のように、茶室の中に現出します。感動的です。一口召し上がっていただければ、その美味しいさにびっくりされます。
DSC03217_convert_20160308023739.jpg

DSC03222_convert_20160308023823.jpg

ご参加いただいた方から、こんな素敵な言葉をいただきました。

「たくさんのお炭をついで、日本人の命の糧となる水と米を炊く。
米という食材から「ご飯」へと生まれ変わる瞬間を
皆で共有できるということは、
美味しいとか風情があるだけでなく、
自然からの恩恵を、直球で勝負されているようで、
大きな意味があるなぁと感じました。」

こんな風に感じていただけたこと、とてもうれしいです。

ご飯が美味しいのは、お米も炊き方もですが、そこには、亭主の心がこもっているから。茶飯釜では、亭主が水屋に下がる時間が少なくて、茶室でいろいろに気働きしますので、客はその姿に、ありがたさを感じます。いつもの茶事以上に。これは茶飯釜ならではのことかと思います。

ご飯の炊ける香りを楽しんでいただくために、香は焚かずに、床に香合を飾っていたものを、ご飯が炊ける間にご覧いただき、次に膳を持ち出します。

お寺の行事にちなんで、向付は精進にして、生湯葉と焼き椎茸と三つ葉に加減醤油をかけて、季節の蕨を添えました。先に、八寸とお酒もおすすめしました。若狭から、二月堂の閼伽井屋の井戸に水が送られ、香水として仏に供えられる行事がお水取り。八寸には、若狭カレイをご用意しました。お酒は奈良から取り寄せた梅の宿の大吟醸です。汁は、金色という口付の鍋を、釜を下した後にかけ、温まったらとりわけます。煮物椀は、二月堂におわします日光菩薩・月光菩薩にちなんで、日月椀を使いました。春の訪れを感じていただけるよう、貝柱真蒸にウドと蕾菜を添えました。焼き物は鰆。強肴は、汁の後に鉄鍋をかけ、熱々をお出しします。芹の香りもご馳走です。
DSC03272_convert_20160308024610.jpg

DSC03230_convert_20160308024352.jpg

DSC03276_convert_20160308025213.jpg

DSC03279_convert_20160308025130.jpg


DSC03280_convert_20160308025347.jpg

主菓子は蓬をたっぷり入れた、銘「若草山」。水屋コースの方々の手作りです。

後座の床に、椿の散華。
濃茶や薄茶の道具組は、初座の少し浮ついた気持ちを引きずらないように、また、床の花を生かすために渋めに取り揃えました。
DSC03239+-+繧ウ繝斐・_convert_20160308024757


お水取りにちなんで、釣瓶の水指、濃茶の茶碗は井戸です。茶杓の銘は「お松明」。茶入は少し時代のある膳所です。

茶飯釜をすると後炭が楽しみです。普段は胴炭が残ってなかなか輪胴が入らないのですが、火吹き竹で吹いた炭は、すっかり痩せていますので、道炭を割って、輪胴が入るスペースを作ります。輪胴は表面積が大きいので、すぐに火が移り、パチパチと火の粉を上げます。「ああ、まるでお松明を見ているようだ」と、お客様。こんな反応が、茶事らしくて好きです。
DSC03290_convert_20160308025500.jpg


関西では、奈良のお水取リが終わると本格的な暖かな春がやってくると申します。
薄茶では、水ぬるむ春の、水の落雁、春の芽吹きの州浜の蕨の干菓子。
棗は、黒が美しい面取り棗、石斎の作です。主茶碗は、赤膚の奈良絵茶碗、二楽 作。替は、鉄鉢の形をした 淡路焼 玄心 作。もう一椀、加藤春二さんの柳を。
DSC03294_convert_20160308025751.jpg

DSC03297_convert_20160308025859.jpg

今回も、私が一番楽しませていただいたようですが、四畳半茶室の釣り釜の風情は、とてもここちよく、3月にも続いて、釣り釜にて正午の茶事の勉強会を開催させていただきたいと・・・。基本の正午の茶事を、ゆったりと落ち着いた雰囲気で楽しんでいただければと思います。ぜひお付き合いくださいませ。
3月27日(日)29日(火)、客としてご参加してくださる方各5名様、亭主、半東、台所役の勉強をしていただく水屋コースも各5名様、募集します。水屋コースの方も、懐石フルコース召し上がっていただけますし、後座からは一緒に席入りして、濃茶、後炭、薄茶、そして、私のお茶話をお聞きいただきます。
桜の季節の到来~~。さて、どんな世界をお届けできるでしょうか。
関連記事


コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://wa202020.blog64.fc2.com/tb.php/187-26bceb1d
    この記事へのトラックバック


    最新記事