12月23日じないまち峯風庵・夜咄の茶事勉強会レポート

2016年12月30日 23:49

さすがに、茶事は夜咄にて上がりて候といわれるように、なかなか大変でしたが、ご参加の皆さんのが心が合わさって、良い茶事になりました。
和蝋燭と短ケイの幻想的な灯りだけでなく、暗闇で見る炭の火の美しいこと。火鉢や手あぶり、火入れの炭、そして、大きな炉の炭。うっとりとしているうちに夜が更けました。
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実際にご体験された方の何十分の一くらいしかお伝えできませんが、茶道の啓発活動をライフワークにしていますので、残念ながらご参加いただけなかった方や、茶道や茶事にご興味をお持ちの方に、その魅力の一端をお伝えできればと思ってのレポートです。25年の茶事の中で、同じ茶事はしたことがありません。その日のお客様(勉強会ではご参加の皆さま)のために一期一会の世界を作ります。なので、少しくらいはお披露目しても、私はまた次なる創造に向けて精進することができます。このように公表することを心配してくださる方や、もったいないといってくださる方もいらっしゃるのですが、私は私の責任においてお披露目していますので、どうぞご安心を。これからいらしてくださる方にも更なる世界を創造しておもてなしをさせていただきます。
さすがに25年になると新しい創造は難題になってきますが。頑張ります。(^^♪
<師走 忠臣蔵・夜咄の茶事の勉強会>
赤穂浪士の討ち入りは12月14日。師走のころ、お茶の世界でも、茶事や茶会のテーマとしてよく取り上げられるのは、なぜでしょうか。人を思うという茶道の基本に通じるからではないかなと思ったりしています。日本人の生き方や美意識が、時代を経て、語りつがれています。浅野内匠頭ゆかりの襖絵や仏像が残る歴史の町、富田林じないまちで、雪の夜の出来事を、蝋燭の灯りのもと四方山話として振り返ってみましょう。
こんな案内をご参加の客コース・水屋コースの皆さまにお出ししました。
ご希望の方には、じないまちができるもととなった町の中心・興正寺さんの本堂にある、松の絵(内匠頭が刃傷に及んだ江戸城松の廊下の松の絵を描いた同じ絵師の手になるものです)をご覧いただき、修験道岩組の総長のお宅に安置されている蔵王権現像(内匠頭が刃傷に及ぶ前年、元禄12年に岩組に贈ったものです)を拝して、ありがたいお経もあげていただきました。
じないまちならではの歴史に触れて、忠臣蔵の時空をまじかに感じてもらいながらの茶事になればと。
待合の掛物は今年のしまい干支の「申」。いよいよ今年も押し詰まってまいりました。掛物のほかに、炭斗籠に白菊一輪。歌舞伎の忠臣蔵では、赤穂浪士の吉良邸討ち入りで、吉良上野介は炭小屋に隠れていたところを引き出されて首をはねられます。白菊はたむけの花です。吉良さんだけでなく、命を落とした赤穂浪士のためにも。夜咄の茶事では後座の床に石菖鉢を置いて、花は入れませんので、このような趣向をすることができます。
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迎え付けでは手燭の交換。ここで亭主と客は初めて顔をあわせますので、万感の思いがこみ上げてきます。蹲には湯桶も用意します。
席入りしていただき、お一人お一人と挨拶をかわします。
床には「紅炉一点雪」の墨跡。炉の中に赤くいこった炭の上に白い雪が一片、ひらりと舞い落ち、一瞬のもとに消えてなくなります。さて、皆さまは何を感じとられるでしょうか。
少しでも暖かくと、いつもは濡れ釜を掛けますが、夜咄では水屋で煮えをつかせた釜をかけています。まずは温まっていただこうと前茶を差し上げてから、初炭手前になります。
当日は朝からシトシトと降っていた雨も上がり、木枯らしが吹いていました。隙間だらけの古民家茶室なので空調を入れていましたが、やっぱり、これはまずい。お茶では、人工の音をすべて消して自然の音の世界で感性を研ぎ澄まします。時計や携帯電話なども、もちろん持ちこんではいけません。カメラももちろんダメですね。茶事で持ち帰っていいものは思い出と主菓子についている黒文字だけです。
人工の音を消したとき、思わず皆さんの口から「おお~」とか「ほお~」とかの声がもれました。そう、全然違う時空に包まれます。宇宙と同化し、その日だけのために創造された世界の中で、人と共にあることで良き社会の縮図を構築してゆき互いに磨かれる。それが茶事です。単に楽しいだけなら、こんなに大変な思いをすることもないですから。お茶でしかできない高みを見る、心が震えるような感動を味わう、そんな茶事を皆さんにしてほしいと願っています。
半東役の方がしっかり心入れしてくださった下火が素晴らしくて、すっかり赤くいこって周りにたっぷりと白い尉がかかっています。この尉のことを、私の師匠は「情」という字に置き換えてみなさいと。お客様を心からお待ちしていましたよという亭主の思いが、この下火三炭の風情に現れています。なので、5分でも遅刻される方があると、もうこの炭は台無しになります。どなたかが前に書いてくださいましたが、亭主も裏方も客も茶事では覚悟が要ります。
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懐石は、お国の赤穂、京都での潜伏、江戸の暮らしを献立で表してみました。
向付は鯛の蕎麦蒸。歌舞伎では討ち入りの日、赤穂浪士は蕎麦屋の二階に結集したとあります。汁は木枯らしに吹かれる落ち葉を大根で。白味噌をたっぷりと使いました。
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煮物椀は赤穂名産の牡蠣を使った真蒸。
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焼き物は鱈のからすみ焼き。
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強肴は大根と豆腐とあさりの江戸鍋です。
八寸は、銀杏松葉刺し、剣先烏賊の雲丹焼き。松の廊下の刃傷です。
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香の物は沢庵のほかに京都の壬生菜と蕪の千枚漬けを。
主菓子は赤穂の塩蒸し酒まんじゅう。ねずこの木の蒸籠で蒸たてアツアツをお出ししました。オリジナルです。(^^♪ 中には忠義の心を閉じ込めようと甘栗を一つ入れましたが、この甘栗が饅頭全体のアクセントになって美味しかった。(^^♪じないまちの近くに美味しい甘栗屋さんがあるんです。
後入りの案内は喚鐘で。物悲しさが漂います。
濃茶は「関の白」、薄茶は「幾代の昔」京都の一保堂のお茶です。「関 東西南北活路に通ず」という禅語にちなんで。赤穂浪士の討ち入りまでの気持ちに沿いました。
いただきもののお茶ですが、生かして使えてよかった。贈ってくださった方もびっくりされていました。今回のテーマにぴったりです。
釜は利休考案の「阿弥陀堂」、香合は「鐘」。濃茶の茶碗は李朝の物で、約300年ほど前の物。ちょうど忠臣蔵の時代にできたものですが、ひびを漆継ぎしています。浅野内匠頭や赤穂浪士の痛みを感じます。
薄茶の主茶碗にしたのは、11月にも使った(11月は茶人の正月の一年の始まりの意味でいろは)山本義博先生の「いろは茶碗」です。いろは四十七文字が彫り込まれています、赤穂浪士四十七士です。お客様から仮名手本忠臣蔵のいろは文字に隠された「とがなくて しす 」のお話も。それにしても、いろは歌には無常感が漂い、日本人の心をとらえますね。
干菓子は金柑の砂糖漬けにハワイの茶人さんから送っていただいたきれいな雪の結晶。夜咄なので、きれいに盛らずにざっくりと。
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討ち入りの日には吉良邸では茶会が催されていたので、きっと吉良は屋敷にいると踏んでの討ち入りの日。江戸城松の廊下の刃傷には、内匠頭が持っていた狂言袴という茶入を吉良さんが欲しがったけれど、内匠頭が譲らなかったせいだと説もあります。
忠臣蔵はお茶にもつながりのあるテーマですが、それにかかわるそれぞれの人に、それぞれの物語があり、そして互いに人を思う物語に心惹かれます。
私が一番好きなシーンは、討ち入りの当日に吉良邸のまわりの武家屋敷に討ち入りのことを知らせる使者が送られ「火事にご用心を」と。武家屋敷の人はこの討ち入りに感動して、赤穂浪士が存分に戦えるように屋敷の中から高提灯を掲げます。火事装束や山鹿流の陣太鼓も、史実ではないかもしれませんが、なんかぐっときますね。
ほんの少しのつもりが、今回も長いレポートになってしまいました。
峯風庵での茶事の勉強会はオリジナルの箱火鉢茶室なので、点前が少しですがアレンジしなくてはならず、私が亭主をしながらの勉強会になります。なので、写真がほとんど撮れませんでしたので、写真は少しだけ。
それにしても、水屋コースの半東役も台所役も、よく頑張りました。お客さんも本番の茶事と同じように応えてくださり、いい茶事になりました。サポートのT先生にも感謝。
稽古茶事でお客が5名と夜咄にしては多くて、それに後座からは水屋コースの方も席入りしてお茶話を聞きながらお茶を召し上がってもらいますから、定刻の3時間半で終わるのは至難の業なのですが、止め炭もして20分ほど伸びただけで、すべて終了。
名残り惜しい茶事になりました。
夜咄、たいへんだけど、またやりたいなあ。懲りない私です。(^_-)
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