2月の塚口真庵 茶飯釜の茶事勉強会のレポです

2017年03月06日 18:43

茶飯釜・正午の茶事の勉強会、26日28日両日ともに、茶釜で美味しくご飯が炊けました。「草の戸や 住替わる代ぞ 雛の家」松尾芭蕉の俳句を茶事の世界に閉じ込めました。四畳半茶室の釣り釜、f分の1の揺らぎの心地よさ。真庵をお借りするときに、釣り釜が使えるように工事をお願いして本当に良かった。
写真は二日分を混ぜてご紹介しています。

さて、この日程の茶事ですから、テーマは雛祭りかなと考えていたのですが、初日の亭主役の方が武道家でライフコンサルタントの男性です。可愛いだけの雛祭りでは、どうも似あいません。茶事の世界を用意する影の亭主の私にも似合わないなあと。
2月の初めに、東京での茶事にお招きを受けました。大阪の片田舎の富田林寺内町からは前日入りしなくては間に合いません。で、前日に、6代乾山・三浦乾也の足跡をたどるために、隅田川のほとりの言問団子の店を訪れました。ずいぶん昔に、信楽の骨董店で、乾也のこの時期に使える貝合わせの向付を求め、とても気に入っていましたので。乾也は明治の初めに京都から隅田川のほとりに移り、都鳥の文様が特徴の言問焼きをはじめており、言問団子のお皿として使われていました。
その時、ハタと思いつきました。隅田川のほとりには松尾芭蕉の草庵があり、奥の細道の旅に出る前に、この家を小さな娘を持つ家族に貸します。「草の戸や 住替わる代ぞ 雛の家」この俳句を詠んで家に張ってから去ったといいます。ここから、瞬く間に茶事の世界が見えてきました。私には、ほんまにお茶の神様がついていてくださると思います。今回もこの時点でいい茶事になると確信。

この季節、春を待つワクワクする思いもありますが、季節の変わり目には侘びを感じます。茶事は、ただ楽しいだけではなく、心を深く、豊かにする場であってほしいと願っています。ただ楽しいだけのスノッブな遊びであれば、私はお茶を続けていなかったでしょう。お茶でしか味わえない、お茶でしかたどり着くことのできない世界を茶事でお届けしたいと願っています。
松尾芭蕉の句からは、鴨 長命の方丈記にみられる諸行無常の世界観も感じとれます。元禄2年、西行法師500回忌の年に、芭蕉は奥の細道の旅に出ます。芭蕉は西行を師と仰ぎ、私の住む寺内町から程近い、西行終焉の地の弘川寺にも足跡を残しています。
奥の細道の序文「月日は百代の過客にして 行きかふ年も又旅人也」。人生もまた、旅。一日一日の生も、また、死に向かって歩む道。

茶飯釜は、茶室の中でご飯を炊くという楽しい茶事ではありますが、「飢来飯」「渇来茶」という仏性とも思える心が込められています。ご飯を大事にいただくという気持ちも生まれます。楽しい中にも、ご参加の皆様にはそれどれの気づきや思いが生まれたようで、勉強会が終わって、素晴らしいお礼メールが次々に届きました。
私も、感激で、疲れも吹き飛びました。
いつもと違う懐石の進行に、水屋コースの方々は大変だったことと思いますが、水屋の働きがあって茶事は首尾よく進行します。懐石やお菓子作りも、実はスタッフで作ってしまう方が楽なのですが、しっかり大変な部分も体験していただくことで、実際に茶事ができる人が育つ勉強会にしたいと思っています。客コースの皆さんも、今回は、亭主を助けて火吹き竹で炉の炭を吹き火力を上げてご飯を炊き上げるという作業に、「ああ、茶事は亭主と客が一緒に作り上げるということがよくわかりました」と。宇宙観で構成された小さいけれど、限りない広がりを持つ茶室に、その日の世界を持ち込み、亭主、裏方、客というそれぞれの役割を、人を思いながら、よき生き方の探求として実践することで、良き社会の縮図を作り出し、互いに高みを目指す。これが本来の茶道・茶事の意味や意義かと思います。

初座の床には「風吹南岸柳」の禅語をかけました。これは「雨打北池蓮」と対句になっています。同じ時節でも、南の地では優しい春風が柳を吹き、芽吹きを誘っていますが、北の地では冷たい雨が強く蓮を打つ厳しい状況があります。禅の世界では、何事もあるがままに受け入れることが大事と諭されていますが。私は、お茶で高みを見た人は、宮沢賢治みたいですが、苦しんでいる人、悲しんでいる人があれば、そばに行って寄り添い、またすべての人の幸せのために、自身でできることはできるだけでいいので力を発揮する。それが茶人というものではないかと思ったりしています。おなかがすいた人がやって来たら、どなたにもご飯を差し上げましょう、のどが渇いた人が来られたら、どなたにもお茶を差し上げましょう。茶飯釜の心です。

さて、準備が整い茶事が始まります。待合には、芭蕉の旅姿の色紙。初入の床には都鳥の香合を飾りました。後入の床にはお雛様。花入は旅枕です。
当日の茶事の模様は、初日にお付き合いいただきました映像作家で大学教授のFさんが写真を撮ってくださいましたので、いつもより数段素敵な写真がとれていますので、二日目と合わせて、ご紹介します。壊れかけのカメラで、いつも写真が悪いのはカメラのせいにしていましたが、やっぱり腕がないんですね、私。(-_-;)

釣り釜の茶事は、本当に素敵なので、3月にも真庵で釣り釜の茶事を開催させていただきます。桜の頃・正午の茶事。3月はちょっとこむづかしいことは置いといて、ただただ、ゆったり、釣り釜の揺らぎに春を感じて、それぞれの櫻の情景をお楽しみいただけるような茶事にしたいと思います。3月26日(日)27日(月)二日間続けて開催させていただきます。遠路の方は、一日はお客さん、もう一日は水屋でのお勉強をされる方もいらっしゃいます。
関連記事


コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://wa202020.blog64.fc2.com/tb.php/246-e016205c
    この記事へのトラックバック


    最新記事