2020年02月27日 14:55

16日に開催させていただきました柏陽庵の「お茶事事始め」初めての方、初心の方のための茶事勉強会。皆さんに楽しんでいただきました。あいにくの雨で曽田が、しっとりと落ち着いた雰囲気が漂い、いい茶事になったt歩もいます。
今回初め亭主に取り組むMさんは、寺内町もりひろ亭のちょっと大人のお茶稽古に来られている方。炭手前も5人分の濃茶を練ることもお稽古でしっかりしていただいていますので、安心してお任せしました。初めてとは思えないくらい落ち着いて務めてくださいました。



正客は初心の若い男性です。いつもより3倍くらい真剣に取り組みましたと。よい経験になって、良かったです。
お詰には、ベテランの茶人さんにお付き合いいただきました。初心の方を席中でサポートいただき、また、席中でのご対応が初心の方にも勉強になって、私としてはとても助かりました。
この日、関心したこと、私の勉強になったことが。初めて半東をされるTさんは長くアメリカで茶道の先生をされていた方で、昨年帰国されて、徳時はアメリカに戻って、弟子たちに茶事を教えてあげたいとのことで来られました。83歳とお聞きしてびっくり。そして、お客さんにも87歳の方がいらしてくださっていました。87歳の方からは後日お電話をいただいて、ぜひ炭手前を指導してほしいと。いくつになっても新しいことにチャレンジしようと思われて行動に移されることに感銘を受けました。
68歳になる私は、何かといううともう年だから~~と気持ちが引けてしまうことを大いに反省しました。80歳代のお二人を見習って、まだまだ頑張らなくてはと肝に銘じました。
利休の侘びの世界という、ちょっとむつかしいテーマでしたが、初心の方にこそ、茶道の根本のお話がしたくて、掛物や道具など、利休に心寄せていただけるようにご用意させていただきました。
「春のみを待つらん人に 山里の雪間の草の春を見せばや」
利休の侘びを現した歌です。ちょうど、茶事の日程にふさわしいと、このテーマを選びました。
早く暖かで華やかな春が来てほしいと言ってる人に、山深い里に積もる雪の下では春の芽吹きの準備をしている小さな草の生命力こそ、素晴らしいと。この日の主菓子は手作りのねり切りで、銘を雪間の草としました。
一般には侘というと、寂し気な風情や壊れたものやひそひそとしたものをイメージされます。欠けたるものを侘ということもあります。利休はかけたる様ではなく、欠けているものを満たす、完成を目指すエネルギーこそ侘びなのだと語っているようです。だから、利休のお茶は大きく深く創造性にあふれています。
小さくまとまらない茶道を目指してほしいという私の願いを、利休の人柄、利休の作り出した道具などの話をちりばめた茶事となりました。
初座の床には、切腹の前日に書かれた言葉が書かれた利休の立像をかけました。人生70年 ああ無念。自身の貫いてきた生き方も誇りも、ここに投げ捨てよう。と怒りを感じさせる言葉。
しかし、切腹の床には菜の花を一凛入れてあったという逸話に、救われた思いがしました。可憐で優しい野の花に、利休は安らかに旅だられたのだと思います。
後座の床には、今まさに花を開かせようとするエネルギーを秘めた肥後椿を亭主が入れてくれて、利休の道を私たちも歩んでいるのだと感じました。

菜の花は、最後の薄茶の干菓子に用意しました。
そうそう、ここでは四つ椀の本懐石がだせないので、料理屋さんに亶んだお料理を点心盆に盛り替えてお出ししていますは、この日は煮物椀に利休卵を作って持ってゆきました。利休の茶事の会記にも残されている料理です。
初心の方のために、茶事とはどんなものかを体験していただくための簡単な茶事と思ってプログラムしたのですが、やはり茶事は心尽して、その時にできることを精一杯・・・なので、中身は通常の茶事勉強会とおなじように、どんどん濃くなってきます。(^.^)
次回は5月に庶風炉の茶事を予定しています。会費は11000円です。お茶に興味がある方はどなたでもご参加できますので、次回はぜひご一緒に。

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