森ノ宮CALPE DIEM 夏のお茶・冬のお茶

2012年08月08日 23:59

8月5日は森ノ宮の昭和のお屋敷カルペディエムでの茶道塾でした。
初参加の方もあって、鎌倉時代からの石がたくさん配された300坪の日本庭園や海外からのゲストハウスになっているお部屋、美術館に収まっているような素晴らしいアートが無造作に置かれたギャラリーやキャッフェの見学もお楽しみいただきました。
香港からのゲストもお二人ご参加いただき、管理人のMさんは点前稽古しながらの通訳で大忙し。お茶が始めての海外からのゲストに参加いただけると、お茶の原点の説明をしたいと思うので、一緒に参加している方々や私自身も初心に戻ることが出来て、ラッキーなんです。

さてさて、暑いときこそ、お茶でしゃっきり。
炭手前で炭を熾して、釜の湯を沸かし、名水点にて濃茶をいただいたら、たるんでいた精神が目覚めました...。
お客様も、あっ、覚醒した~~なんて。

カルペ

美味しい濃茶をいただくチャンスはなかなかありませんが、カルペ茶道塾では、濃茶とはなにかということ、濃茶に対する心構えなどもお話し、濃茶の練り方もしっかりお伝えしているので、勉強会といえども皆さん真剣に心を込めて練ってくださるので、本当に美味しいです。
夏の風物詩のあれこれを道具でお楽しみいただきましたが、安価なお茶椀ではありますが、金魚のお茶椀が大人気。水を入れたら、ほんまに金魚が泳いでいるように見えました。

一ヶ月に一度のカルペディエムCALPEDIEM(今を生きよというラテン語です。お茶の一期一会にもつながります)でのお茶は、心が満たされ、幸せな気持ちで一杯になります。
素敵な空間で、好きなお茶の心を一人一人の参加者にゆっくりお伝えできるし、世界中から日本の文化に興味のある方が集うゲストハウスであり文化の発信拠点でもあるカルペなので、ここからすぐに世界につながっている感じがするので、ちょっと閉塞感のある日本のお茶の世界に風が通るようで気持ちがいいのです。

毎月第一日曜日に開催している,森ノ宮カルペディエムの茶道塾は、どなたでも一回毎のお申込みでお茶の点前稽古やお客さん体験をしていただけます。お茶の世界への理解を深めていただけるように、お茶の心を伝えて行きたいと思ってはじめた塾です。
月謝制にしていないので、たくさん来られるときも、ほんの数名様のときも。数名様のときは、運営上はたいへんなのですが、ゆっくり一日お茶に触れていただき、一人一人の人生に寄り添う気持ちでお茶のお話をさせていただけるので、こんな日も実はうれしいことなのです。
暑い夏や寒い冬は、やはり参加者が少なくなりますが、2月はたくさんの方にいらしていただきました。レポートをし損ねていましたが、2012年1月7日(土)~4月8日(日)中の島の国立国際美術館と同時開催されているカルペの草間彌生展にあわせて、3日間のスペシャル企画で開催させていただきました。やはり書き留めておきたい茶道塾でしたので、この際に、思出しながら、冬のお茶のレポートも書かせていただきます。

夏のお茶・冬のお茶

カルペ


国立国際美術館は大盛況で、大行列が出来たり、見る時間を制限されたりと、たいへんなことになっていましたが、カルペディエムの展示は、身近に、カルペの空間の中に自然な感じでさりげなく置かれていて、ゆっくりご覧いただけました。池や庭を使ったインスタレーションがおもしろく、新作版画はギャラリースペースで、草間さんの蛇のふすまの部屋も公開されています。いつもはいろんな著名作家の絵がさりげなく置かれているキャッフェも、草間さんの絵で埋め尽くされていました。

茶道塾も連日、参加をお断りしなくてはならなくなり、申し訳ないことになってしまいました。
毎回、お茶のおもてなしの世界を作って、参加される方々をお迎えしていますが、たぶん、皆さんは草間アートの世界でコラボなので、ドット模様が一杯出てくるお茶会を予想してこられるはず。
草間アートといえば、南瓜、ドット。持ち込みたいのは山々でしたが、カルペには、草間さんのアートが歴然としてあるのだから、草間もどきをもってきても意味はないなあと。今回は、草間アートに関するもの、イメージさせるものは一切茶室に持ち込まず、総合芸術としてのお茶、私とお客様で作り出す時空で、草間彌生specialの世界を作り出すことにしました。

夏のお茶・冬のお茶


草間さんのテーマは「永遠の永遠の永遠」、私のお茶は「瞬間の永遠」です。
床には死を考える禅語の軸「紅炉一点雪」、香合は「空」の文字が入った萩焼。般若心境のお経が書かれた巻物も添えました。道具は寺に関するものを中心に。

夏のお茶・冬のお茶

アートには解説は不要とも思いますが、草間さんのドットの意味なども私なりの解釈をお話してみました。
芸術は誰の心にも伝わり、永遠の命を持っている。さて、お茶はどうなのでしょう。
お茶のおもてなしは何もない空間にその日のお客様のために室礼を整え、道具を用意して、炭をおき釜で湯を沸かし、手づくりの懐石料理やお菓子とともにお茶を供します。終われば、また何もない空間に戻ります。その瞬間だけにできるかぎりのことを誠心誠意、精一杯、主客ともに努めます。むなしいといえばむなしいのですが、一期一会の思い出は永遠に続くかもしれないですし、すぐに忘れ去られたとしても、それはそれでいいのです。

永遠の対極にあるのが、限りある命。 炉の中に赤々といこった炭、そこへ一片の雪が舞い落ちて一瞬のうちに消えてなくなります。鮮烈で美しい光景です。
茶道が成立した戦国時代。川中島の合戦で、
越後の国の上杉謙信は、甲斐の国の武田信玄の陣地に、ただ一騎で奇襲をかけます。本陣には、武田信玄ただ一人。謙信は信玄めがけて「如何なるか是剣刃傷の事」と言いながら刀を振りかざし切りつけます。信玄は泰然自若として「紅炉一点雪」と答えざま、持っていた鉄扇で刀を受けます。
謙信は戦国時代にあって、どのように「死」を受け止めるのかと問い、信玄は生へのひとかけらの執着も啼く、死への微塵の恐怖もない。生もなく 死もない。生きるもよし、死ぬもよし。と無心で刃を受け止めた。のだそうです。見てきたように、浪曲師のように、茶道塾で語っていましたが、事実かどうかはわかりません。笑。
人はどのようにして死んでゆくのかは、どのように生きたのかと、たぶん同じ。永遠は瞬間の連なりかと。
草間さんのドットは、私は般若心経の色即是空 空即是色だと思います。今、目に見えているものは、実は何もないんだよ。分子や粒子レベルに分けていけば、地球上のものや生物は、皆一緒。固有の形などなくなります。南瓜はたぶん現実の象徴として表現されているのだと。仏教の世界では、あの世とこの世があり、この世で起こることは実は夢うつつ、本当の世界が別にあるのだという。だからこの世や自身に執着しないでよいのだよと。世界で活躍する草間さんのアートは、実はとても日本的なのだなあと勝手に理解しています。

夏のお茶・冬のお茶

真っ赤にいこった炭で釜の煮えがついて、暖かな湯気が茶室をホッコリ包んでくれます。この日の主菓子は、咲き分け。紅白の梅の花を表しています。春も、もうすぐやってきます。

夏のお茶・冬のお茶


そして、奇跡のようなことが起こりました。
午後4時ごろ、西日が当たると、茶室前の廊下に張られたレンズのようなドットが茶室の雪見障子に陰を落とし、本物の草間アートが茶室に現れたのです。

カルペ

茶室に入り込むたくさんのドットの陰。私のお話した色即是空 空即是色が、瞬間に現れて、消えてゆきました。

草間もどきを持ち込まなかった私に「じゃあ、私が出向くよ」と、草間さんが現れたような。世界のトップアーティスト草間さんとのコラボが出来上がりました。私のお茶の歴史の中で、特筆すべき一期一会になりました。

もう一つおまけの話ですが、その日はフランス在住でアーティストのプロデュースがお仕事のカルペの美しいオーナーさんも草間展に合わせて国されており、着物姿で本日のラストの薄茶点前稽古。真剣に取り組んでいただいたのですが、薄茶がたったときにに「あら、お茶椀の中にドットが~~。たまにしかやらないので、ヘタくそで大きな泡が一杯です~~。」って。最後にドットを作ってしまうなんて!なんか、落語のオチのようでした。もちろん、全員爆笑。

夏のお茶・冬のお茶


これからも森ノ宮カルペディエムでは、一期一会の、おもてなしのお茶の世界をご用意して、皆さんのお出ましを心よりお待ちいたしております。次回は9月2日(日)です。
詳細は此方をご覧ください。http://www.wa-no-kokoro.jp/event/789/


http://www.wa-no-kokoro.jp/
<和の心>茶道・茶事・茶人の世界ホームページ
関連記事


コメント

  1. 優太 | URL | CKyOUH4I

    Re: 森ノ宮CALPE DIEM 夏のお茶・冬のお茶

    こんにちは。

    草間彌生さんのドット解釈に共感しました。

    先日草間彌生展に行き、たまたま今般若心経を聴いていたのですが、共通の世界だなぁと。

  2. 峯風庵 | URL | OdaEQhE.

    Re: 森ノ宮CALPE DIEM 夏のお茶・冬のお茶

    優太さん
    コメントをありがとうございます。
    私も昨日、風鈴のコンサートに行っていて、風鈴と般若心経のコラボを聴いていました。唯一、私が唱えることの出きるお経です。
    ときどき、ブログのぞきにいらしてくださいね。

コメントの投稿

(コメント編集・削除に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://wa202020.blog64.fc2.com/tb.php/68-4ff6da7f
この記事へのトラックバック


最新記事