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6月の汎庵茶事講座 伏せ傘懐石正午の茶事レポート

2011年06月24日 23:14

汎庵の屋根の修復工事のため、しばらくお休みになっていた、汎庵茶事講座。
久しぶりに訪れる日本庭園は、雨の恵みをたっぷり吸い込んで、木々の緑が滴るようで、格別の美しさです。さまざまな緑の色に心も体も包まれ、世俗の垢を洗い流してもらい、まるで生き返ったような気分です。
汎庵の屋根ももとの姿に修復され、変わらぬ凛とした風情で佇んでいます。
伝統を紡ぎ、新たな時代への架け橋になれるような、そんなお茶の道を探求する場として、本当にすばらしい環境です。大事に、また感謝して、これからも茶事講座をさせていただこうと気持ちを新たにいたしました。
6月汎庵茶事講座

雨の季節の汎庵茶事講座。
初日は、雨。二日目からは、曇り。
遠路お越しいただく参加者の皆さまには、雨はお気の毒なのですが、初日の雨の日の茶事の、なんと感慨深かったことか。雨の日の空気感、心の底に落ちてくる雨の音。しばし、うっとり、まるで天国にいるような、そんな気持ちになりました。
後の日程皆さまには、雨が降らずにごめんね~と言いたいくらいでした。

さて、今回は雨の季節だけに楽しめる伏せ傘懐石で茶事をさせていただきました。雨は素敵なのですが、湿度が高くうっとおしい気分になることもあり、なんとなくだらだらしがちです。茶事のメインは濃茶なので、懐石でだらだらしてしまっては、快い緊張感で濃茶に望むのが難しくなります。そのため、懐石をさらさらと進めるために、工夫されたものです。いつの時代にどなたが始められたのかは判りませんが、茶人らしい機転とウイットに飛んだ工夫だなあと思います。

水屋勉強コースの方は、午前10時から懐石料理と主菓子の実習があります。茶事の優雅さは、湖面を進む白鳥のようです。でも、水の中では、実は足をバタバタしていなくては、優雅さは保てません。茶事も同じで、水屋は、テキパキ動き、気働きも必要です。時間の限りの中で全力を尽くす、その達成感も茶事の醍醐味です。茶事をするには、優雅な茶席、テキパキの水屋、その両方が必要です。いつもお客様参加の皆さまも、是非、水屋にもトライしてみていただければ、お茶への理解が深まるかと思います。

お客様コースは11時40分集合。水が打たれた玄関を入るから、既に茶事は始まっています。待合、露地、腰掛待合、蹲、全てのご亭主のお心入れが感じ取りながらの、お席入りをお願いしています。
6月汎庵茶事講座


6月は、初日が表流の方がご亭主でしたので、にわか表流にて懐石をお出ししました。二日目と三日目には、立礼席にて懐石。
表流の炭や湯の考え方、自然体の点前、とても素敵でした。立礼でのおもてなしの方法も空間によってもさまざまですが、臨機応変に対応することろが茶事の醍醐味でもありますので、今月は、私もいい経験が出来ました。
6月汎庵茶事講座


懐石の膳は、向付をおき、飯椀の上に汁椀を重ねて持ち出します。汁椀を伏せた姿が傘を伏せたように見えるので、伏せ傘懐石と命名されたようです。
6月汎庵茶事講座

飯椀には、最初の一文字と次の飯器で取り分ける分量のご飯が入っています。お汁はかないろ(昔はこれでお酒を呑んでいたといいますから、茶人はみな酒豪でいらしたようです)で持ち出し、取り分けていただきます。汁代えの分も入っていますので、具は一人3個取り分けます。煮物椀からは、通常通りですが、これだけでもずいぶん手間と時間が省けます。
向付は、ゆでた車海老に黄身酢を掛けて。添えは花丸胡瓜と莫大。この季節には、生物はなるべく使わないという配慮も、必要です。
煮物椀は、レンコン豆腐に煮穴子とかいわれ菜。焼き物は鮎の風干しの素揚げ。懐石料理は、とてもバランスのよいお料理だと思います。最後の湯斗と香の物をいただいたときに、ああ、美味しかったとお腹も心も喜んでいただけるような、そんなお料理をお出ししたいと、いつも思っています。
6月汎庵茶事講座

6月汎庵茶事講座

初炭を終えて、主菓子。手作りの水無月です。吉野の葛を使いましたので、上品でもっちりした食感が持ち味。
6月汎庵茶事講座


中立のあと、席中では、半東さんにお手伝いいただいて、花を入れ、炭と湯を整えて、茶入を飾ります。花入は竹で作られた番傘。傘の柄の部分に水を入れるようになっています。アジサイがよく似合います。
6月汎庵茶事講座

本日の水指は、前夜からどっぷりと水に浸けておいた伊賀です。今回の道具組は、この伊賀の水指と、もう一つ、水の季節に関するものから構成してゆきました。
今回は、陶芸家の方がお二人ご参加でしたので、現代を代表する5人の陶芸家にも選ばれた、古谷道生さんのものを、お持ちしました。
6月汎庵茶事講座

お茶道具は一つだけで存在するものではなく、茶事の中で、シンフォニーのように互いに引き立てあって、一つの世界を作ってゆく、そんな道具を作っていただきたいというお話もさせていただきましたが、茶事のお客様の道具を楽しむ一つの視点としても、ご参加の皆様にもお役にたてたようです。

濃茶は、厳粛に。雨の匂いの中での寂とした時間は、お茶をしていて本当によかったなあと思える時間です。亭主がお茶を練るあいだに立ち上ってくるお茶の香りも、梅雨どきには強く感じることができます。お香の香りも、雨の季節には、翌日まで残り香が続きます。
濃茶からは、水屋コースの方も席中に入っていただけますので、濃茶終わりのタイミングで、毎回テーマを決めて、お茶の世界を深めていただけるようなお話をさせていただいております。
今回は「お茶はLOHAS」というお話でした。
心も体も健康で、持続可能な社会や地球環境に配慮したライフスタイルを支持する人々が、世界中で急速に増加しています。2000年頃にアメリカから日本にも入ってきた考え方ですが、実は、お茶の成立当時の400年前から、茶人は既にLOHASの推進者であったというお話です。
文明のこの時代に、炭をいこし、湯を沸かすお茶の世界。手間暇掛けることで、心が育つ。和の文化の考え方の一つです。お茶の道具は自分の手で足りないところを道具に借りますので、常に自分の手の延長にあります。人間の力でコントロールできないかもしれないものを安易に取り入れることへの警告でもあります。
常に前に前に進むことだけでなく、人間の叡智で、少し立ち止まること、後ろを振り返ることも必要です。お茶は、そんな人としての生き方のバランスをとるためにも、役立つことが出来ると思う。そんなお話をさせていただきました。
お話の間に、後炭、風炉中の拝見。
6月汎庵茶事講座


そして、薄茶が始まります。
干菓子を運んだときに、席中でワア~と言う歓声が。そうなんです。この干菓子を見つけたときに、今回の茶事の世界が出来上がりました。四天王寺参道のお菓子司河藤の蛙の落雁です。可愛いでしょう。お客さまに喜んでいただけて、本望です。写真2枚載せちゃいます。
6月汎庵茶事講座

6月汎庵茶事講座

棗は6月に使おうと求めた、黒の面取り棗、石斎の作です。この季節には、キリッと引き締まるような黒の棗がよく似合うと。主茶碗は、お茶の心を表す曳舟の図にしました。このお茶椀は、雨の中,箕をかぶり、川下りの舟を川上に引いてゆく姿が描かれています。楽しい舟下りには、このように見えないところでご苦労を掛けているということを心に刻む図です。見えないものを心の目で見る、お茶の心でもあります。
6月汎庵茶事講座


茶事が終わって、名残惜しい気持ちで迎える、最後のお見送り「残心」。今回も4日間、それぞれにご亭主とお客様の、いろいろな思いが行き交ったことでしょう。
6月汎庵茶事講座


前回に引き続き東京からいらしてくださった方に、席中で「東京には茶事を勉強するところはないのですか?」と、他のお客様からの問いかけがありました。「東京にも茶事の勉強会はたくさんありますが、この汎庵茶事講座のように、お茶の魅力と本質を学べると処はありません」とお応えいただき、本当に、うれしいことでした。この方は映像作家でいらっしゃいますが、これからの私のお茶の表現活動において、大きなヒントをいただきました。私のお茶も、まだまだこれからingです。ご縁をいただきました方、お出会いさせていただきました皆様と御一緒に、これからもお茶の世界を探求してゆければ幸いです。

しばらくお休みがありましたので、次回はもうすぐですが7月の23日(土)24日(日)25日(月)
に開催させていただきます。
暑い時期ですが、お茶でしゃっきり。暑い時期のお茶ならではの、楽しみがあります。
名水点にて、朝茶事の勉強会をさせていただきます。茶道具のつるべに注連縄ではなく、ちょっと工夫をさせていただいた道具での名水点をお楽しみください。朝茶事ですが、勉強会ですので、いつもと同じ時間に開催です。
是非、御付き合いくださいませ。
お申し込みは、下記の千里庵まで。
http://www.senrian.com/hanan_chaji.html

私の「和の心」HPはこちらです。
http://www.wa-no-kokoro.jp/

2月汎庵茶事講座 茶飯釜の茶事レポート

2011年02月14日 05:01

2月汎庵茶事講座 茶飯釜の茶事レポート

2月3日~6日まで、万博跡地日本庭園の非公開茶室汎庵で、茶事講座の第11回目を開催しました。
一年で一番寒いのがこの時期。
汎庵までの遠路、この季節にいらしていただけるだろうかと心配しておりましたが、おかげさまで満席にて開催することが出来ました。キャンセル待ちで、ご参加いただけなかった皆様には、本当に申し訳ないことでした。
昨年は釣り釜の季節ということで3月に幻の茶事「茶飯釜の茶事」をさせていただきました。火吹き竹でフ~フ~と風を送って火力を上げて茶釜でご飯を炊く茶事は、寒い季節にもピッタリです。

10時の水屋コースの開始まえに、いつも9時前には会場入りしています。

汎庵茶事講座2月茶飯釜

千里庵の方々が、朝早くに、庭園で切ってきてくださった茶花が裏口に。いつも茶花では苦労していますので、これが一番ありがたい。

2月は節分の趣向にしました。茶事は待合から始まって、お見送りまで、一つの世界で構成されていますので、懐石料理やお酒、お菓子も茶事を構成する大切な要素です。

汎庵茶事講座2月茶飯釜

水屋コースでは、懐石料理のフルコースとお菓子作りの実習をして、亭主、半東、水屋(台所方)に分かれて、茶事の進行をしてゆきます。
半東さんは、火入れの炭もしますが、以外にこれをしたことがない方が多いですね。

汎庵茶事講座2月茶飯釜

お客コースの方は11時40分に待合集合。
汲出しをお出しして、茶事が始まります。

汎庵茶事講座2月茶飯釜

蹲を使って、席入り。床の掛け物は「徳を以って福を招く」大徳寺 誡堂和尚の墨蹟です。
ご飯の炊ける香りを楽しんでいただくために、初炭では香は炊きません。

汎庵茶事講座2月茶飯釜

炭の入れ方も、いつもとは違います。

汎庵茶事講座2月茶飯釜

洗い米を釜に。サラサラという音もご馳走です。

2月汎庵茶事講座 茶飯釜の茶事レポート

まずは火吹き竹の使い方をレクチャー。こんな機会ですので、皆さんにも吹いていただきました。

2月汎庵茶事講座 茶飯釜の茶事レポート



ご飯が炊けるまでに、まずは向付で一献。お酒は千葉の福祝です。蟹とりんごと白菜などの和え物。新作です。
汎庵茶事講座2月茶飯釜


煮物椀も先にお出しします。久しぶりに作った牡蠣豆腐の薄葛仕立て、しょうが風味。

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ご飯はまだかな、まだかな・・・。のぞいてみたいですが、炊き上りまで蓋は取れません。
さあ、釜を下ろして、汁を炉にかけたら、ご飯の蓋を取りましょう。
汎庵茶事講座2月茶飯釜

2月汎庵茶事講座 茶飯釜の茶事レポート



湯気が立ち上り、ご飯の香りが茶室を満たします。手送りでご飯を送って、汁を
取り分けたら、さあ、召し上がれ。思わず、「どう、どう、美味しい?」と、催促してしまいました。笑。

汎庵茶事講座2月茶飯釜

汁の入った「かないろ」をはずしたら、炉には、強肴の鍋をかけます。節分には邪気をはらって福や運を呼び込みますから、強肴はちょっと遊んで運(ん)盛り合わせおでんにしました。だいこん、にんじん、こんにゃく、ぎんなん、とりだんご。皆、んがつきます。

汎庵茶事講座2月茶飯釜

強肴前には、寒ブリの照り焼きを。
八寸は、鰯の甘露煮芥子まぶし、タラの芽の衣揚げ。
なかなか、バランスのよい懐石メニューになりました。

主菓子は、練りきりの「雪間の草」蓬の香りが春を呼びます。

後座は、気分を変えて、凛とした濃茶。

2月汎庵茶事講座 茶飯釜の茶事レポート

後炭では、さすがに火吹き竹の威力。胴炭が細くなっていました。初日は胴炭はそのままで、輪胴止めに、2姫からは胴炭を割って、輪胴がつげました。

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薄茶は、和やかに。

汎庵茶事講座2月茶飯釜


節分の茶事として、まず、頭に浮かんだのが、お寺でよく見かける五行の色でした。

汎庵茶事講座2月茶飯釜

香合は和三彩の草紋で黄色と緑、水指に波佐見焼き波千鳥地紋の白、黒樂茶碗と古瀬戸の茶入で黒、寺道具であった時代根来の薄器の赤。棚も木地の四方棚にして、お寺におまいりした後の清々しさをと思いました。

節分の趣向として、鬼の置物を蓋置きに取り上げました。釜の蓋が載りにくいので、亭主の皆さんからは顰蹙をかってしまいましたが、お客さまからは笑いがもれて、4日とも鬼さんの拝見を請われました。
鬼門は牛寅の方向なので、鬼には牛の角があり、寅の皮のパンツをはいてるのという説明に、あれ、この蓋置の鬼さんは寅のパンツはいてるかしらと、よく見ていただいたら、ちゃんとはいてました。笑。

干菓子はちょっと遊んで、鬼とお多福の箱に、小さな豆板と手作りの州浜の柊を入れました。カルペディエムの茶道塾でも同じものを使いましたが、皆さん、楽しんででいただけたようです。

茶道塾1月30日節分

2月の講話のテーマは「自分のお茶を見つけましょう」でした。私自身のお茶を例にして、お話をしましたが、この茶飯釜にも、私のお茶の核となるものがあります。一番多くのことをお教えいただいた師からは、禁じられていた茶事です。茶飯釜は楽しいけれど、砕けすぎるきらいがあるので、茶事になるかならないか、難しいところなので、中途半端な修行中の身では、やめておきなさい、と。その言葉は今もしっかり心に持ちつつの私の茶飯釜です。
茶事は主客ともに一期一会を通じて、心を通わせ、また高めあう、日本が生んだ世界に誇ることができる精神文化の実践の場です。
数寄者としてのお茶を気楽に楽しんでいた私ですが、12年ほど前から、茶事の指導をさせていただくことになりました。勉強会では、互いによく知る者だけでなく、この日初めてお会いする方もいらっしゃいます。茶人同士の心の交流どころか、緊張でコチコチに硬くなった方、一言も言葉を発することが出来ない方などもいらっしゃいます。ただ、懐石料理を食べて、お茶を飲むことが茶事ではありませんので、いかにして、茶事の時空を一緒に作っていただくか、楽しんでいただくか、私なりに考えて、少しでも気持ちを樂に持っていただくこと、笑顔になっていただけることを茶事のなかに盛り込むようになりました。身に余る高価な道具は用意できませんが、アイデアや取り合わせの妙で、心が和む、そんな茶事の形が出来てきました。それを、皆さん、森ワールドといって、楽しみに来てくださるようになりました。

汎庵茶事講座2月茶飯釜

お茶の稽古や本に書かれている茶事の形、それは、枠組みでしかないと思います。家を建てるときの柱です。しっかりした柱がないと家も立ちませんから、枠組みは重要です。でも枠組みだけでは家にはなりません。壁やドアや窓、カーテンや家具などのインテリア。枠組みを埋めてゆくのが、自身です。お茶は他の稽古事とは違って人生や生き方そのもの。その時々で、かかわり方や密度も違うかも知れませんが、長く続けることで、自分自身のお茶が見えてくるのではないかと思います。

汎庵茶事講座2月茶飯釜

2月の茶飯釜のご飯、4日とも、美味しく炊けました。
昔は重労働だった、かまどでのご飯炊き。今では、皆さんが楽しいといって、笑顔で火吹き竹を吹かれます。
しばらく吹いていると、お釜の中でゴトゴトとお米が踊っている音がかすかに聞こえます。大きな湯気がでてきたら、鎖を上げて蒸らしにかかります。湯気がおさまったら、炊き上がり。4日とも、火の回り具合が違いますから、炊き上がりの時間も違います。電気釜のスイッチをポンと押しておくだけでご飯が食べられる便利さもありがたいですが、気遣うということ、手間暇かけるということ、炭と鉄のお釜で炊いた本当に美味しいご飯の味を伝えてゆくということ。砕けた茶飯釜ではありますが、有意義な茶事になったのではと、一人、思っております。

<和の心 ホームページ>
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12月の汎庵茶事講座「夜咄の茶事」レポート

2010年12月26日 18:04

汎庵茶事講座12月 汎庵茶事講座12月

冬の庭園には冬ならではの美しさがあります。
葉を落とした裸木たちの造形の美しさ、山茶花や椿の花。今回は、寒桜の花も見つけました。
寒い季節、遠路はるばる、万博日本庭園の汎庵までお越しいただけることに、心から感謝して開催させていただきました茶事講座でした。
蝋燭の灯りで楽しむ幻想的な夜咄の茶事だけに、沢山のキャンセル待ちの方が出てしまい、ご参加いただけなかったことを心苦しく思っています。
是非、またの機会に。
公共的な会場のため、実際に夜に開催することはできませんので、ひと工夫。
茶室は雨戸を閉めて電気を消せば暗くなるのですが、露地はなんともなりません。
いつもご参加いただく若い女性が、立礼席の電気を消して腰掛待合にしたらどうですかと。
すごい! いただきです!
で、千里庵スタッフのお二人が、がんばってくださって、見事、露地、腰掛待合、蹲ができました。
これで、すっかり夜の気配。手蜀の交換にも、気持ちが入ります。灯りのテストもばっちりできました。
12月汎庵茶事講座


水屋コースは10時から、懐石料理とお菓子の実習。
夜咄の茶事は、寒い季節、しかも冷え込む夜の茶事ですので、いかに暖かくおもてなしをするかが、ポイントです。
半東さんも、いつもの火入れの炭の準備だけでなく、手あぶりや火鉢の炭の準備、蝋燭の準備など大忙しです。水屋担当は、最初のお膳が勝負です。温かいご飯とお汁をお出しするだけでもたいへんなことなのに、さらに、向付けも温かいものをご用意します。3つの温かいものを同時をお出しするのは、至難の業なんです。夜咄は、たいへんですが,半東さんもお水屋さんも、しっかり取り組むと達成感があって、大きな喜びも得られます。

さて、席入りの時間。待合に甘酒の汲み出しをお出しします。待合の掛け物は、寿老人が大黒さまに散髪してもらっている大津絵「寿老人、こじかの年も暮れにけり」の文字。こじかは小鹿。小鹿はころくと読めます。小さい禄高であった今年ではあるが、何とか年を越すことができそうだというユーモアです。私の心境でもあるかな。笑。

特設の腰掛待合に進んでいただくと、お客さまの「ホオ~~」という感嘆の声。やったね!

汎庵茶事講座12月

露地の灯りは、皆見立てのもの。古い糸巻きに小皿を置いて、蝋燭を。ガラスの筒に墨絵の和紙を張って水を入れ、フローティングキャンドルをいれたり。何処にどれだけと言う決まりはありません。暗い中、移動するのに危なくないように設置してゆきますが、明るくなりすぎてはせっかくの夜のイメージが台無しになります。
亭主は蹲を使って、水を足し、湯桶を運んで、迎え付けにでます。

汎庵茶事講座12月

手蜀の交換は、夜咄の醍醐味です。

汎庵茶事講座12月

初座の床には「無事是貴人」。お決まりの語ではありますが、本来禅語の意味は、あるがままにうけいれること、それが自身の仏性を生み、また悟りの境地へと誘う、そのことがとても尊いのだよ。簡単なようでできないことかもしれません。
12月汎庵茶事講座


いろいろのご挨拶の後、前茶を差し上げます。ここではお菓子は出ませんので、待合の汲み出しがお菓子代わりになりますので、何か少し甘いものをご用意します。
続いて、初炭手前。夜咄は少し砕けた茶事になりますので、後炭は省略します。羽箒は縞ふくろう。夜ですものね。香合は鐘です。除夜の鐘の音を聞くのももうすぐです。

汎庵茶事講座12月 汎庵茶事講座12月


炉縁は、京都三条大橋の古材で作られた木地のもの。師走の恒例の京都の行事、南座の顔見世興行も今、興行の真っ最中です。
師走のこのひと時を、大事に思っていただけたらと、師走の趣向もあちこちに。

続いて、懐石です。広間の茶事では膳を取り込む必要がないので、縁の外に置き、自身が少し前に出て懐石を頂きますが、夜咄の茶事は普通は3名様くらいのお客さまで四畳以下の小間がふさわしいもの。今回は小間の勉強をしていただきました。小間の懐石膳は半掛かりに取り込みますが、夜咄では蝋燭を使いますので、ご亭主が動きやすいように、縁の中に膳を取り込みます。3名様くらいのお客さまでしたいのは、山々ですが、会費の設定をどなたでも少しがんばっていただけたら参加できる金額に抑えたいという私の希望もありまして、汎茶事講座の参加人数や方法が、こんな形になっています。ご了承のほどを。

向付は、雲子と百合根の茶碗蒸。器は江戸時代の徳川尾張藩の御用釜、尾州焼のお茶漬け茶碗を使いました。お酒は東北地方の雪の茅舎。燗をつけてお出ししました。
汎庵茶事講座12月
汁は丸抜大根。煮物椀は海老揚げ真蒸。この揚げ真蒸はちょっと難しい。柔らかくて扱いにくいのですが、かたく作ると薩摩揚げになってしまうもで、要注意です。
汎庵茶事講座12月

焼物は地どりの桑焼き。強肴は、葱鮪鍋。温かいものを召し上がっていただけるように鍋仕立てです。
汎庵茶事講座12月

夜咄では、もう少しお酒と言う思いで、徳利と石杯がでることもあります。亭主相伴ののち、蕎麦米の小吸い物がでて、千鳥の杯。八寸はふぐの一夜干しと銀杏の翡翠煮松葉刺し。

途中、膳蜀の芯を切るという作業があります。これは近くにいるお客様の仕事です。芯を切ると、灯りが明るくなります。
汎庵茶事講座12月

湯斗と香の物で、禅宗のお坊さんの食礼に準じて、お椀をきれいにしていただきます。

主菓子は、蒸篭ごと蒸した、柚子蒸し饅頭です。中の餡が熱いので、気をつけて召し上がれ!
汎庵茶事講座12月

中立ちの間に、炉の火移りを見て、炭と香を足し、床には、石菖を飾ります。
汎庵茶事講座12月

準備が整うと、鐘鉦を打ちます。先ほどの香合の鐘とイメージが重なります。心に沁みる鐘が打てたらいいですね。

濃茶は、厳かに。続き薄で、楽しく。干菓子は、富山の五郎丸屋の薄氷と、金柑の砂糖漬けを、格を落としてざっくり盛り付けました。

汎庵茶事講座12月

汎庵茶事講座12月

夜咄ですから、お話が弾まなくては面白くありません。お茶になると皆さん、無口になられるのはどうしてでしょうか? 感じたこと、思ったこと、一人一人が口に出していただかないと、おもてなしをしている亭主側は、がっかりです。お茶は、五感と見えないものを見る第六感を養う、人間力開発プログラムでもありますから、せっかくのチャンス、自身でしっかり鍛えていただければと願います。特に、蝋燭の灯りのもとでは、感性が鋭くなり、また磨かれるものです。

講話のテーマは「蝋燭の扱いと魅力」でした。今回は、水屋コースの方にも、蝋燭の醍醐味のところは総て一緒に見ていただき、そのつど扱いについては説明をさせていただきましたので、講話は短めに。私の蝋燭の思い出を話させていただきました。あんまり、人様に言うべき話でもないのですが、子供の頃、父が会社をつぶして、急に貧乏になりました。いつも家族の団欒は夕食後にイギリスの紅茶と洋菓子が用意されていましたのに、没落後は、一枚のビスケットと脱脂粉乳をといたものになりました。悲しくて涙が出そうになったとき、母が電気を消して一本の蝋燭をつけてくれました。暗闇を照らす蝋燭の灯りは、暗くなっていた私と妹の心の中にポッと灯りました。家族が一緒にいるだけで幸せなんだなあと。なんだか、一杯のかけ蕎麦みたいな話しになりましたが、蝋燭の光は私には幸せの印です。
12月汎庵茶事講座

幸せは仕合わせ。仕えあう気持ちがあるところに幸せがある。お茶も、まさに仕えあう気持ちから成り立っています。
汎庵茶事講座は、勉強会ではありますが、毎回、私が水屋コースの方もお客コースの人も参加してくださる一人一人をおもてなしする本番の茶事だと思って茶事の世界を作っています。
茶事の楽しさ、茶事の深さを感じ取っていただければ幸いです。
蝋燭の灯りで見ていただいたシーンや道具の一つ一つは、写真や説明コメントではなかなかお伝えすることができません。参加された一人一人のお心に何かが残っていれば幸いです。
最後になりましたが、このたいへんな夜咄の茶事の準備、進行、アシスタント講師、後片付けを担当いただきました、千里庵スタッフのお二人に、心から感謝いたします。
次の茶飯釜もたいへんですから、よろしくね。




第9回10月の汎庵茶事講座「名残」レポート

2010年10月29日 02:30

四季折々に楽しい茶事ですが、10月の名残の茶事は、侘びた風情が魅力です。
昔の茶人たちは、5月に取れたお茶の葉を壷に入れて山中で保管し、11月にその壷の口を切って使い始める慣わしがあり、11月が茶人にとってはお正月となります。一年の終わりが10月で、お茶の名残を惜しむ茶事が行われます。11月には炉を開けますから、風炉の季節に使った道具や食材にも名残を惜しみます。
汎庵があります万博跡地の日本庭園の木々は、うっすらと色づきはじめ、まさに薄紅葉という言葉がぴったり。時の移り変わりの、その瞬間に出会ったような、ハッとする体験でした。
2010 10 hanan

水屋勉強コースの皆さんは、午前10時から懐石料理のフルコースと主菓子の実習があり、その後、亭主役、半東役、水屋役に分かれて、茶事を進めてゆきます。茶事のお客さまの勉強はできるところはさまざまにありますが、この水屋の勉強が出来るところはめったにありません。
2010 10 hanan

本当に茶事をしようと思うと、この水屋での働きができないと、ちょっとね~。水屋方を経験するとお客さまとして茶事に招かれたときの感慨もひとしお。いいお客さまにもなれます。なぜか、汎庵茶事講座では、お客さまコースから埋まってゆきますが、水屋コースのほうが、実はずっと多くのことが学べて、お得なんです。笑。
さてさて、お客さまが到着する時刻。水屋方は、準備万端、?。
2010 10 hanan

待合には、多くのことをお教えいただいた、今は亡き茶人の木鶏さんの書「春は花あり 夏は涼風あり 秋は月あり 冬は雪あり」の語を掛け、汎庵での一年の茶事のいろいろを思い起こしていただければと・・・。

懐石にも、名残の気持ちを込めて。向付の器は、これまで茶事で使った器をとりどりに。寄向という名残の茶事の趣向です。一つ一つに茶事の思い出があります。侘びの季節にふさわしく、格を落として、平目の昆布〆と菊花をあえて盛りました。
2010 10 hanan

お汁はさつま芋。
煮物椀は、穴子の卵寄せ。走りの松茸がご馳走です。趣向で青柚子と黄色に色づいた柚子の両方を使って、芝模様に。ちょっとした事ですが、この季節を感じていただけるかと。
2010 10 hanan

焼物は、戻り鰹のきじ焼き。5月の初風炉で初鰹、10月の名残で戻り鰹。懐石の食材一つで、茶事の世界が豊かに広がります。器は、江戸時代の梅。馬の目皿を使いました。なんで、馬の目ですかと、おたずねがありましたが、天高く馬肥ゆる秋ですもの。
2010 10 hanan

強肴は、菊花と菊菜、梨と焼き椎茸の卸しあえ。私の大好きなメニューです。
八寸も、杉ではなく、10月は陶器のものを使います。懐石では背の青い魚は余り使いませんが、名残でもありますし、旬の食材でもありますので、海のもの日は、秋刀魚の燻製を。山のものは、黒豆の枝豆。
2010 10 hanan

2010 10 hanan

我ながら、名残らしい懐石だなあ~と自画自賛。私も4日間、美味しくいただきました。

10月になると、少し冷え込むこともありますので、火をお客様の方に近づけて温かくという思いで、風炉の中置きになります。炭手前では,釜を引く向きがいつもと逆になりますので、ちょっとたいへん。風炉も侘びた風情の鉄のやつれ風炉にしました。
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主菓子をお出しして、中立ちとなります。主菓子は栗たっぷりの栗きんとんでした。
2010 10 hanan

中立ちのあとは、半東さん、大活躍です。炭の立ち具合をチェックして、香を入れて、お湯を足して・・・。懐石が長引くと、下火が燃え尽きて、炭手前をしても火がつかないこともあります。さて、こんなときはどうするか?今回も一日、そんな日があって、水屋勉強コースは、いいお勉強ができました。笑。

花は必ず亭主が入れましょう。花って不思議に、入れる人のお人柄が出ますので、拝見するのがとても楽しみ。お茶の花はちょっと寂しいくいに入れるのがよいとされていますが、名残では、残花や返り咲きのものなど、なるべく沢山入れるのがご馳走です。10月は実のなっているものを入れることも出来ます。日本庭園でいただいた花々、なかなか名前がおぼえられませんが、ようやく4日めにしておぼえたのが、犬枇杷。小さな実がなっています。名残らしくて、うれしくなりました。花器は1700年前の弥生の壷です。すわりが悪くて、でも、転んだら粉々にくずれてしまいそうなしろものでしたので、参加メンバーの機転で籠にいれて保護。
2010 10 hanan

濃茶の茶碗は漆継ぎのある御本、茶入は海上がりの安南、茶杓は時代の金継ぎで、名は「再来」。薄茶の茶碗は、黒織部に、伊羅保。渋い色目の道具組みに、一点、薄器は時代根来、蓋はやはり時代の黒柿です。山居の庭先の赤い柿の実を思わせます。
2010 10 hanan

干菓子の盛り付けは、いつも、私がしてしまいます。いつもちょっといたずらをしてしまうのですが、今回は、箕の菓子器に、吹き寄せのように、手作りの銀杏の雲平と八尾市の桃林堂さんの五智果を盛りました。
2010 10 hanan

講話は「わび・さびの心」でした。お茶の真髄のお話でしたので、また、折をみて、書き残したいと思っています。
ご参加いただきました皆さま、お疲れ様でした。
また、ぜひ、汎庵茶事講座でお会いしましょう。
汎庵茶事講座は勉強会ではありますが、私が皆様をお招きする本番の茶事だと思って、毎回、おもてなしの世界をご用意しています。
参加を迷っていらっしゃる方、茶事が始めての方も、お茶が始めての方も、どなた様もウエルカムです。是非、お茶の本来の姿、茶事をご体験くださいませ。

第一回汎庵茶事講座レポート

2010年09月17日 14:44

2009年7月
峯風庵を閉めることになって、落ち込んでいましたが、汎庵での茶事講座は、これまでの峯風庵の茶事塾以上のグレードを感じていただける内容で開催することが出来ました。

緑の庭園の木々がそよぎ、季節の花が咲き乱れ、小鳥たちが楽しそうに鳴いています。その中に、山居を思わせる侘び茶室。流れる川の音、筧の水音。茶の道を求めて集う人たち。

哀しみの中から、ふわりと高みに浮かび上がらせていただいた、そんな感じがしています。

遠くはフランスのリヨンからのご参加もいただきました。
この大阪万博・日本庭園を核に、文化交流で世界に点在する日本庭園や茶室を結んで、「和の心」を世界中に広げてゆきたい、そんなことをふと思ってしまいました。

7月の日本庭園は、蓮池一面に咲く蓮の花が見事です。数年前に見た蓮池を思い浮かべながら、茶事の世界を構成して行きました。

蓮池から、仏様がいらっしゃる浄土のイメージが浮かび上がりました。
待合には「洗心」の色紙を掛け、茶事のイントロとします。
茶室の床には「澗水湛藍如」の墨蹟をかけ、蓮池に見立てたバリ島で見つけた見立ての水指(蛙が蓮池を覗き込んでいる形。たぶん、植木鉢カバーだと思う。これに道具屋さんで塗り蓋を合わせてもらいました。折りしも、日本庭園の蓮池では、大きな牛蛙がうなり声をあげておりました。ジャストミート!)を飾って、初入りとなります。

7月の講話のテーマは「宇宙観と自然」。
にじり口をくぐって、茶室に入ることは、曼荼羅の世界、すなわち、宇宙に入ること。
宇宙に満ちる、陰と陽の二つの気のバランスをとること、木火土金水の五行説がお茶の中でどのように生かされているか、北斗七星の形の柄杓を扱って、点前をする意味などなど。
仏の世界も現実の世界も、実は同じなのだという、墨蹟の言葉の意味がなんとなくわかっていただけたかなと。

懐石料理の向付は雲丹と長芋羹、煮物椀は鮎の風干しとそうめん、焼き物はイサキの塩焼きバジル酢、強肴は、新レンコン・剣先烏賊・インゲンの和え物、八寸は沢蟹と枝豆、お酒は広島の地酒「水龍」。
主菓子は蓮の実を入れた葛饅頭、干菓子は水落雁と蓮の花びらの雲平を。

風炉の花にはいつも頭を悩ませていましたが、なにせ260.000㎡の日本庭園です。季節季節のお花を茶事には使わせていただけるとのこと。峯風庵では出来なかったこと、花所望もさせていただきました。早朝から、たくさんの花をご用意してくださった千里庵のスタッフに、感謝、感謝。

薄茶の頃には、点前座の前の丸窓の障子をあけて、緑輝く庭園の風情もご覧いただきました。心が大きく大きく広がってゆくような清清しさ。
素敵な茶室です。
広間の茶事はともすれば、気持ちが散漫になり勝ちですが、工夫と心のこめ方で、広間でも、いい茶事が出来る、そんなことにも気づきました。

私自身も、素晴らしい環境の中での茶事、そして真摯に茶事にとりくまれる皆様の姿を見て、心が洗われるような、そんな感慨深い茶事となりました。

主催してくださる日本庭園千里庵のお二人のスタッフに、本当によくしていただいて、峯風庵での茶事塾のあとは数日寝込まなくては体力・気力が回復しないほど、クタクタに疲れていましたが、今回は、おかげさまで、翌日から仕事に復帰できました。

お茶は大きくて深い世界、そして、心から楽しめる世界です。お茶が始めての方も、是非、お茶の本来の姿=茶事を楽しんでいただきたいと思います。

汎庵茶事講座のレポートは主催してくださっている千里庵のスタッフブログで、毎回紹介されていますので、
http://www.senrian.com/blog.html
第9回までのレポートはぜひ、こちらをご覧ください。

<和の心< 茶道・茶事・茶人の世界ホームページ
http://www.wa-no-kokoro.jp/



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