2月の茶懐石料理教室 弥生・春の野遊びの献立 レポ

2017年02月19日 22:58

2月の茶懐石料理教室、終了。
春の献立は、心も華やぎます。
玄関の花も春らしくして、ご参加の皆さんをお迎えしました。
今月はアメリカ在住の方が出張のための帰国に合わせてのご参加、金沢や東京などの遠路からもご参加いただきました。
私の茶懐石料理は、辻留の初代の料理を受け継いでいます。今は辻留の茶懐石も随分変わってきたようですが、変える・崩すことはたやすいですが、守るというのはなかなか大変です。きちんと懐石料理の意味を伝えながら伝統の料理をこれからも伝えてゆきたいと思っています。
今回は弥生三月の終盤の頃の正午の茶事を想定した献立です。
菜の花は、千家のお茶を学ぶものは、利休忌が終わるまでは口にしないという伝えがあります。利休最期の茶室の床に菜の花が飾られていたことに起因します。茶道を集大成された利休の死を悼んで、また憧憬の思いを込めて。
野遊び・正午の茶事の懐石、ご紹介しましょう。
峯風庵自慢の卵真蒸の煮物椀は、大好評でした。私も3日続けて食べても、やっぱり美味しいなあと、自画自賛。(^^)v
今回は春の野遊びらしく、時代の重箱に、焼物と強肴を一緒に盛りました。焼物の地鶏の鍬焼きも、お百姓さんが野で農作業の鍬をたき火で熱して鳥を焼いて食べたことに由来する料理です。

向付  サヨリ昆布〆 蕨づくり 新わかめ ウルイ 山葵 加減醤油
汁   ウド  合わせ味噌 辛子
煮物椀 卵真蒸 車エビ 菜の花 百合根の櫻 木の芽
焼物  地鶏鍬焼き 山椒風味
強肴  貝と分葱のぬた 薄揚げ ウド ウルイ 新わかめ
小吸物 エディブルフラワー
八寸  モロコ甘露煮  ふきのとう衣揚げ
香の物 沢庵 若ゴボウ 野沢菜
酒   甲斐の国の銘酒  春鶯囀(しゅんのうてん)
主菓子 春野(道明寺おはぎに練り切の花を載せて)

# じないまち峯風庵 茶飯釜・粥の朝茶事 レポート

2017年02月01日 20:28

<茶飯釜・粥の朝茶事 レポート じないまち峯風庵にて>
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一番歓声が大きかったのが、お粥の炊き上がりと、薄茶のための干菓子。峯風庵の今回のサプライズです。
二日めのお客様が、是非ブログなどにアップしてくださいと、少し写真をとってくださいました。

私が茶人としてお客様をお迎えする茶事では写真は撮りませんが、ご厚意に甘えることにしました。茶事では、持ち帰って良いのは、黒文字と思い出だけ、とお教えしていますが、その時どきで判断を。
茶飯釜の茶事は砕けた茶事なので、遊びに過ぎると、師匠からは禁じられておりましたが、茶飯釜ならではの茶の道への気づきもあります。
茶飯釜粥の朝茶事、楽しさいっぱいに、そして、ちゃんと茶事にしてみせましょう。
冬の寒い朝。待合や茶室は早くから暖めていましたが、お客様が到着される頃には、空調を切って、炭を入れた火鉢に。なるべく人工の音は消して自然と同化できようにと。キリッとした寒さもある意味ごちそうかと、腰掛け待合には膝掛け毛布だけご用意して、湯桶も出さないことにしました。
待合の掛け物は、迷いに迷って、茶の道の多くをお教えいただいた、今は亡き茶人の木鶏さん傘寿記念に書いていただいた「春夏秋冬」の楽しみの軸をかけました。
明けない朝はないと言われますが、年々歳を重ねますと、朝目覚めた時、それだけで何かに感謝していたりすることがあります。午前6時半白々と朝が明けました。
茶飯釜には、飢来飯、乾来茶の文字が刻まれています。仏性の現れかと。
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床の掛け物は、死生観を表すとも解釈される、{紅炉一点雪}。美しい光景が、後炭でイマジネーションと共にご覧いただけることに。粥の煮える香りを楽しんでいただけるよう、初座では香を焚きませんので、床に香合を飾ります。作も由緒も分からないものですが、摩崖仏を模したもの。
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命芽吹く春を待つ、今日この時の茶事の世界が始まります。
いつもと違う初炭、釜にお米をサラサラと入れたら、火吹き竹でフ~フ~と炉の炭に空気を送って、炎が出たら、釜をかけます。

膳をお出しして、まず一献。お酒は新潟から取り寄せた、雪ほたる。実は高校時代のボーイフレンドの友人で伝説のラガーマンが東京から参加してくださることになり、なんとなく卒業式を思い出して。
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献立は、先付に大徳寺納豆など粥にあうもの九種。向付はタラの白子と百合根の茶碗蒸し。
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預け鉢としてウドと若牛蒡と肉板のきんぴら。焼物は木槌で骨をたたいたデビラカレイ。釜を上げた後に炉にかけた強肴の鍋には、地元の名産の海老芋ほか。八寸は貝柱の酒かす漬と山菜のウルイのおしたし。
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重湯、三分粥、五分粥、全粥と釜の中で変化する粥をバケツリレーのように椀を手送り。これが楽しくて。
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粥は二日間とも、上手く炊けました。お米の美味しいことといったら。お客様方、美味しいを連発でした。
主菓子は、きんとんの雪間の草。

お菓子も料理もなるべく出来たてをと思うので、ほぼ徹夜。仮眠して起きれなかったら、という心配もあるし。(^_^;)
後座の床には、有楽椿と藪椿が掛け合わさったピンクの椿と、柳。花入れは時代のある瀬戸の徳利。朝酒は、いかがでしたか?と。これも、ちょっとサプライズです。
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濃茶の茶碗は、桃山時代の作を思わせる力強い瀬戸黒。茶入はふっくらやさしい高取。互いを引き立てる組み合わせです。茶杓は人間禅の総裁老師様に削っていただき、「舞」という銘を付けていただいたもの。
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朝茶事では後炭を略すのですが、火吹き竹で吹いた後の炭はよく燃えているので、煮えが落ちた淋しい中、お客様をお帰しすることは出来ませんので後炭をします。赤々といこった炭で初座の禅語がよみがえります。
薄茶では、長い冬を乗り越え、春を待つ節分の日の喜びを。
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初日、二日目、共にお客様に恵まれ、良い茶事をさせていただきました。
初日、岐阜からお出ましいただきました3名の先生方はお茶への造詣が深く、また柔らかな感性をお持ちで、なんともここよい時空を作ってくださいました。是非またご一緒させていただきたくて、岐阜にお招きくださいとお願いしてしまいました。もちろん、喜んでと快諾。自身で設計された茶室も楽しみ。東京からのお客様は帰りがけに、これまでしてきた茶道は何だっのかと思いました、とぽつり。是非又よろしくと。うれしいことです。
二日めのお客様に、インフルエンザでキャンセルがはいり、お客様は峯風庵の茶事の勉強会やお茶稽古のメンバーだけに。初日のお詰さんもメンバーさん。日ごろの私の指導の真価が問われますので、ちょっとドキドキでしたが、なかなかのお客様ぶり。お茶が好きで好きで、亭主の用意したもてなしをすべて感じとりたいという気持ちが伝わって、うれしい茶事になりました。
茶事が楽くなかったら、どっと疲れがでますが、今回は元気で余韻に浸っています。本当に楽しかっでた。
粥の朝茶、是非またさせていただきたいです。
平日でしたら2月にも5名様でリクエストいただけましたら、茶飯釜・粥の朝茶事を開催させていただきます。会費はお一人15000円です。遠路の方にはじないまちの古民家ゲストハウスなどご紹介させていただきます。ゆっくり、歴史の町並の散策もお楽しみくださいませ。

1月の茶懐石料理教室 如月・節分の献立 レポート

2017年01月23日 18:12

冬と春を分ける日の節分。福や幸運を招いてくれる日でもあります。なんだかうれしい年中行事ですね。
厳冬の中、春を待つ気持ちも込めて。冬の食材に、走りの早春の食材を取りあわせて。関西の春を呼ぶお水取りの行事、若狭からの水送りなども取り入れてみました。
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今月も、皆さん笑顔でお楽しみいただきました。
主菓子のお多福さんづくりがあったので、笑いも一杯。
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懐石料理葉茶事の懐石部分にのっとって、気軽に椅子とテーブル席で。初めての方も緊張しないで、何でも質問できる感じが、好評です。亭主役、水屋役も、しっかり茶事にのっとって、おもてなしの手法を真何でいただいています。
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節分には、ぜひ作ってみたいとおっしゃっていただいたのがとてもうれしいことでした。
道具がないから茶事はできないとおっしゃる方がいらっしゃいますが、お菓子や懐石料理で、十分に季節感やテーマのある茶事のおもてなしができます。
今回の懐石とお菓子なら、茶道具はシンプルに、炉の中の炭の色、赤、黒、白で道具組してみるのも面白いかも。
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献立をご紹介しましょう。
向付  節分のお豆などのみぞれ酢和え 器=升
汁   蓬団子 白味噌仕立て 辛子
酒   越後の地酒 お福正宗 燗を付けて
煮物椀 鱈の白子豆腐 椎茸 梅人参 芹 霰柚子
焼き物 甘鯛 若狭地焼き
強肴  運(んのつくもの)盛り込み鍋仕立て
小吸物  へぎ金柑
八寸  鰯甘露煮ケシの実まぶし  蕪の柊甘酢漬
香の物 たくわん すぐき
湯斗
主菓子 お多福上用饅頭
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来月は2月17日(金)18日(土)19日(日)に春が来た・弥生の茶事の献立とお菓子です。煮物椀は、峯風庵自慢の黄身真蒸をつくります。ある雑誌で超有名な懐石料理のお店と峯風庵が茶懐石フルコースを作って、各料理をどちらかを使って懐石料理の説明ぺージを作りたいという依頼でしたが、懐石の花と言われる煮物椀は峯風庵の物が採用されました。(ちょっぴり自慢 (^’^))その時の煮物椀です。どうぞ、楽しみにしてご参加くださいね。
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1月4日 酉年 峯風庵初釜レポ

2017年01月11日 14:16

1月4日の初釜、今年も特別な時空をおとどけできたかなと。
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年中行事のお茶はどこも、いつも同じようになってしまいがちで、ちょっと苦手なのですが、やはり結び柳と蓬莱山飾りを飾ると気持ちがしゃんとして清々しい気分がいっぱいに。
今日が7日なので、体力回復には3日かかりました。ようやく体が少し軽くなりました。
いつも茶事では色無地一つ紋の着物ですが、初釜は訪問着や付け下げなどの華やかなものが着られるのが、ちょっと嬉しい。昨年のfacebookをチェックして、同じにならないように。(^.^) facebook、便利です。今年の着物は黄色がかったベージュに絞りの雲どり、刺繍の小花を散らしたもの。帯は金地にグレーの霞入りの袋帯。こちらも小花文様が散らされています。半東さんに茶事が2席が終わってから写真撮ってもらったので、ものすごく疲れた顔で、アップするのがはばかられましたが、ほとんど写真がないので、仕方なく~~。
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蓬莱山飾りから小梅と結び昆布をいただいて、待合で大福茶を。露地にお進みいただきました。迎え付けにでないといけないのですが、膠原病の白蝋症状が足先にでてしまい、露地草履をはくのが辛いので、申し訳ないのですが銅鑼でご案内をさせていただき、席入りしていただきました。
今年の床の掛物は「福以徳成」大徳寺前管長の誡堂和尚の墨跡です。お正月なので、福という文字を掛けただけではなく、この語の意味が大好きなので。福は自身の福ではなく、周りの方々の福なんです。周りの人々に福をもたらす人になることで、自身におのずと徳がついてくる。
お茶は、まず人を思うところから始まります。
結び柳の長い柳がだんだん手に入らなくなったと花屋さん。今年も何とか床に長く垂れる柳が手に入って、ほっとしました。蓬莱山飾りでは、米を敷いて、いつもお世話になっている炭を飾ります。そして、海の物2種、山の物2種を小皿に入れて四隅に置きます。自然の恵みへの感謝です。
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結び柳があるので、花は紅白の椿だけに。白い侘助は開いていても可憐です。赤い椿はいただき物で、名前がわかりません。茶事が終わってから撮影したので、ずいぶん開いてしまいました。
青竹の花入れも山をお持ちの方が、この日のために切って届けてくださいました。お茶のお水は、天川村の名水・ごろごろ水です。こちらも修験道の岩組総長さんが汲んできてくださったもの。
助けてくださる方々のおかげで、今年もなんとか初釜ができました。ありがたいです。
おかげ様で、お客様も満席に。いつも峯風庵のお茶にお付き合いいただいている方々、懐かしい方々、遠路よりの初めての方など、お一人お一人と挨拶を交わして初炭手前。中立を省略しての進行にしているので、炭手前で失敗は許されません。鶴席、亀席ともに、点心が終わるころには煮えがついて、濃茶では、まるで立ちのぼる龍のような,瑞祥を思わせる湯気がたちのぼりました。
香合は、最近仲良しの山本義博先生の、松竹梅。羽箒は白鷹です。

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点心は、江戸時代の根来の隅切盆に、羽子板の盛皿、小向は奴凧と独楽。今年は、酉年なので、鶏の竜田揚げを加えました。大徳寺納豆を芯に入れた百合根茶巾が好評でした。
趣向で小さな茄子の辛子漬けを添えました。
後は富士山の出番を待つばかり。(^.^)
八寸が登場すると、歓声が。今年は日本の伊勢海老が買えなくて、外国のロブスターですが、これが出るとちょっとゴージャスな感じ。山の物はじっくり素揚げにした慈姑です。
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煮物椀は真蒸に扇面海老、ウグイス菜などを添えて。
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最後に湯斗もお出ししました。最後はやっぱりお湯漬けが美味しい。
主菓子は、いつもの大きな花びら餅。夜明けごろに作ったので、柔らかいものを召し上がっていただけました。
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一席6名様、お集りいただけましたので、濃茶では金銀の島台茶碗を使うことができました。3人分ずつの濃茶を2席で4椀、腕の骨折の後遺症もあるので、ちょっと自信がなかったのですが、なんとか、皆さまに美味しいといっていただけました。よかった!
続き薄茶になって、席中も和やかに初笑い。干菓子は酉年の開運干支飴と今年の勅題の「野」(お菓子司 河藤製)。
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主茶碗は、大徳寺黄梅院 大玄和尚の箱書きで「主人公」という銘がついたもの。小ぶりの黒楽です。実は外観はそれほどいいとは思わなかった茶碗なのですが、茶碗の中の風情がとても良い。なるほどね、主人公。 「自喚主人公 自復応諾」という禅語があります。「本来の自分、いつも目覚めていますか?はい目覚めています。」姿形にとらわれることなく、また、流されたり見失ったりせずに、自分自身の生をまっすぐに生きてゆく。そんなメッセージを伝えてくれる茶碗です。
実は今回のお客様の中に、人生の岐路に立っておられる方がいらして、その方のために選んだ茶碗でした。でも、これはどなた様へのメッセージにもなったようです。初釜が終わってからいただいたメールの中にも、この主人公の茶碗のことを書いてくださった方が数名ありました。何年か寝かせていた茶碗ですが、この時空で生かして使えたことがうれしいです。
最後にとっておいた富士山の茶碗に、ようやくでてきましたね、とお客様。
これで、一富士、二鷹、三茄子がそろいました。眠っている時の夢も楽しいですが、起きているときにこそ、夢を見てほしい。夢をもって前に向かって生きてほしい。これが今年の初釜の世界でした。
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高価な道具はご用意できませんが、茶筅や柄杓や袱紗などの消耗品は真っ新にして、神様仏様をお迎えする気持ちで。毎年同じような初釜ではありますが、毎年私も少しづつ薄紙を重ねるように何かを積み重ねてさせていただいている気持ちがします。
お付き合いくださいました、皆さま、本当にありがとうございました。
この一年が、皆さまにとって素晴らしいものでありますように。

12月23日じないまち峯風庵・夜咄の茶事勉強会レポート

2016年12月30日 23:49

さすがに、茶事は夜咄にて上がりて候といわれるように、なかなか大変でしたが、ご参加の皆さんのが心が合わさって、良い茶事になりました。
和蝋燭と短ケイの幻想的な灯りだけでなく、暗闇で見る炭の火の美しいこと。火鉢や手あぶり、火入れの炭、そして、大きな炉の炭。うっとりとしているうちに夜が更けました。
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実際にご体験された方の何十分の一くらいしかお伝えできませんが、茶道の啓発活動をライフワークにしていますので、残念ながらご参加いただけなかった方や、茶道や茶事にご興味をお持ちの方に、その魅力の一端をお伝えできればと思ってのレポートです。25年の茶事の中で、同じ茶事はしたことがありません。その日のお客様(勉強会ではご参加の皆さま)のために一期一会の世界を作ります。なので、少しくらいはお披露目しても、私はまた次なる創造に向けて精進することができます。このように公表することを心配してくださる方や、もったいないといってくださる方もいらっしゃるのですが、私は私の責任においてお披露目していますので、どうぞご安心を。これからいらしてくださる方にも更なる世界を創造しておもてなしをさせていただきます。
さすがに25年になると新しい創造は難題になってきますが。頑張ります。(^^♪
<師走 忠臣蔵・夜咄の茶事の勉強会>
赤穂浪士の討ち入りは12月14日。師走のころ、お茶の世界でも、茶事や茶会のテーマとしてよく取り上げられるのは、なぜでしょうか。人を思うという茶道の基本に通じるからではないかなと思ったりしています。日本人の生き方や美意識が、時代を経て、語りつがれています。浅野内匠頭ゆかりの襖絵や仏像が残る歴史の町、富田林じないまちで、雪の夜の出来事を、蝋燭の灯りのもと四方山話として振り返ってみましょう。
こんな案内をご参加の客コース・水屋コースの皆さまにお出ししました。
ご希望の方には、じないまちができるもととなった町の中心・興正寺さんの本堂にある、松の絵(内匠頭が刃傷に及んだ江戸城松の廊下の松の絵を描いた同じ絵師の手になるものです)をご覧いただき、修験道岩組の総長のお宅に安置されている蔵王権現像(内匠頭が刃傷に及ぶ前年、元禄12年に岩組に贈ったものです)を拝して、ありがたいお経もあげていただきました。
じないまちならではの歴史に触れて、忠臣蔵の時空をまじかに感じてもらいながらの茶事になればと。
待合の掛物は今年のしまい干支の「申」。いよいよ今年も押し詰まってまいりました。掛物のほかに、炭斗籠に白菊一輪。歌舞伎の忠臣蔵では、赤穂浪士の吉良邸討ち入りで、吉良上野介は炭小屋に隠れていたところを引き出されて首をはねられます。白菊はたむけの花です。吉良さんだけでなく、命を落とした赤穂浪士のためにも。夜咄の茶事では後座の床に石菖鉢を置いて、花は入れませんので、このような趣向をすることができます。
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迎え付けでは手燭の交換。ここで亭主と客は初めて顔をあわせますので、万感の思いがこみ上げてきます。蹲には湯桶も用意します。
席入りしていただき、お一人お一人と挨拶をかわします。
床には「紅炉一点雪」の墨跡。炉の中に赤くいこった炭の上に白い雪が一片、ひらりと舞い落ち、一瞬のもとに消えてなくなります。さて、皆さまは何を感じとられるでしょうか。
少しでも暖かくと、いつもは濡れ釜を掛けますが、夜咄では水屋で煮えをつかせた釜をかけています。まずは温まっていただこうと前茶を差し上げてから、初炭手前になります。
当日は朝からシトシトと降っていた雨も上がり、木枯らしが吹いていました。隙間だらけの古民家茶室なので空調を入れていましたが、やっぱり、これはまずい。お茶では、人工の音をすべて消して自然の音の世界で感性を研ぎ澄まします。時計や携帯電話なども、もちろん持ちこんではいけません。カメラももちろんダメですね。茶事で持ち帰っていいものは思い出と主菓子についている黒文字だけです。
人工の音を消したとき、思わず皆さんの口から「おお~」とか「ほお~」とかの声がもれました。そう、全然違う時空に包まれます。宇宙と同化し、その日だけのために創造された世界の中で、人と共にあることで良き社会の縮図を構築してゆき互いに磨かれる。それが茶事です。単に楽しいだけなら、こんなに大変な思いをすることもないですから。お茶でしかできない高みを見る、心が震えるような感動を味わう、そんな茶事を皆さんにしてほしいと願っています。
半東役の方がしっかり心入れしてくださった下火が素晴らしくて、すっかり赤くいこって周りにたっぷりと白い尉がかかっています。この尉のことを、私の師匠は「情」という字に置き換えてみなさいと。お客様を心からお待ちしていましたよという亭主の思いが、この下火三炭の風情に現れています。なので、5分でも遅刻される方があると、もうこの炭は台無しになります。どなたかが前に書いてくださいましたが、亭主も裏方も客も茶事では覚悟が要ります。
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懐石は、お国の赤穂、京都での潜伏、江戸の暮らしを献立で表してみました。
向付は鯛の蕎麦蒸。歌舞伎では討ち入りの日、赤穂浪士は蕎麦屋の二階に結集したとあります。汁は木枯らしに吹かれる落ち葉を大根で。白味噌をたっぷりと使いました。
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煮物椀は赤穂名産の牡蠣を使った真蒸。
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焼き物は鱈のからすみ焼き。
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強肴は大根と豆腐とあさりの江戸鍋です。
八寸は、銀杏松葉刺し、剣先烏賊の雲丹焼き。松の廊下の刃傷です。
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香の物は沢庵のほかに京都の壬生菜と蕪の千枚漬けを。
主菓子は赤穂の塩蒸し酒まんじゅう。ねずこの木の蒸籠で蒸たてアツアツをお出ししました。オリジナルです。(^^♪ 中には忠義の心を閉じ込めようと甘栗を一つ入れましたが、この甘栗が饅頭全体のアクセントになって美味しかった。(^^♪じないまちの近くに美味しい甘栗屋さんがあるんです。
後入りの案内は喚鐘で。物悲しさが漂います。
濃茶は「関の白」、薄茶は「幾代の昔」京都の一保堂のお茶です。「関 東西南北活路に通ず」という禅語にちなんで。赤穂浪士の討ち入りまでの気持ちに沿いました。
いただきもののお茶ですが、生かして使えてよかった。贈ってくださった方もびっくりされていました。今回のテーマにぴったりです。
釜は利休考案の「阿弥陀堂」、香合は「鐘」。濃茶の茶碗は李朝の物で、約300年ほど前の物。ちょうど忠臣蔵の時代にできたものですが、ひびを漆継ぎしています。浅野内匠頭や赤穂浪士の痛みを感じます。
薄茶の主茶碗にしたのは、11月にも使った(11月は茶人の正月の一年の始まりの意味でいろは)山本義博先生の「いろは茶碗」です。いろは四十七文字が彫り込まれています、赤穂浪士四十七士です。お客様から仮名手本忠臣蔵のいろは文字に隠された「とがなくて しす 」のお話も。それにしても、いろは歌には無常感が漂い、日本人の心をとらえますね。
干菓子は金柑の砂糖漬けにハワイの茶人さんから送っていただいたきれいな雪の結晶。夜咄なので、きれいに盛らずにざっくりと。
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討ち入りの日には吉良邸では茶会が催されていたので、きっと吉良は屋敷にいると踏んでの討ち入りの日。江戸城松の廊下の刃傷には、内匠頭が持っていた狂言袴という茶入を吉良さんが欲しがったけれど、内匠頭が譲らなかったせいだと説もあります。
忠臣蔵はお茶にもつながりのあるテーマですが、それにかかわるそれぞれの人に、それぞれの物語があり、そして互いに人を思う物語に心惹かれます。
私が一番好きなシーンは、討ち入りの当日に吉良邸のまわりの武家屋敷に討ち入りのことを知らせる使者が送られ「火事にご用心を」と。武家屋敷の人はこの討ち入りに感動して、赤穂浪士が存分に戦えるように屋敷の中から高提灯を掲げます。火事装束や山鹿流の陣太鼓も、史実ではないかもしれませんが、なんかぐっときますね。
ほんの少しのつもりが、今回も長いレポートになってしまいました。
峯風庵での茶事の勉強会はオリジナルの箱火鉢茶室なので、点前が少しですがアレンジしなくてはならず、私が亭主をしながらの勉強会になります。なので、写真がほとんど撮れませんでしたので、写真は少しだけ。
それにしても、水屋コースの半東役も台所役も、よく頑張りました。お客さんも本番の茶事と同じように応えてくださり、いい茶事になりました。サポートのT先生にも感謝。
稽古茶事でお客が5名と夜咄にしては多くて、それに後座からは水屋コースの方も席入りしてお茶話を聞きながらお茶を召し上がってもらいますから、定刻の3時間半で終わるのは至難の業なのですが、止め炭もして20分ほど伸びただけで、すべて終了。
名残り惜しい茶事になりました。
夜咄、たいへんだけど、またやりたいなあ。懲りない私です。(^_-)


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