9月塚口真庵夕去りの茶事勉強会レポ

2016年10月05日 15:21

9月の塚口真庵 夕去りの茶事勉強会。無事2日間終了しました。
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「月を待つ」と題しての夕去りの茶事。夕去りの茶事は通年、開催することができるのですが、夕暮れが去ってゆく時間に開催して、茶事が終わって露地に出たら、お月さまがぽっかり見える(かもしれない)お月見の頃が一番、ふさわしいように思います。
茶事の一期一会が、とても大切なものであることを、時の移ろいがはっきりとわかる夕去りの茶事が教えてくれます。
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月はそれぞれが目指すお茶の道の先にあるものに例えられます。今回の茶事では、ご参加の皆さまそれぞれの月が現れるのを、焦らずに時間をかけて待ってくださいねというメッセージも込めたつもりです。
人生にはいろいろなことが起こり、続けたくてもお茶をいったんお休みしなくてはいけなくなったり、家族の介護やお世話で参加したくても、茶事の勉強会に参加できない状況にある方もたくさんいらっしゃいます。
茶事や茶懐石のレポートは、お茶の魅力をお伝えしてゆきたいと願う私のライフワークの一環でさせていただいています。実際にご参加いただき受け止めてくださることの10分の一、二十分の一もお伝えできないかもしれませんが。参考になれば幸いです。
写真は2日間のものが混ざっています。25日は席入り4時で、27日は夜にお出ましにくい方のために正午席入りで、電気を消して夕去りの流れを体験していただきました。
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夕去りの茶事は、初座が陽で、床には花を。花が印象的に、お客様の心に届きますように・・・。
茶室に花を入れ、香を焚いてお客様をお迎えするのは、神様、仏様と同じくらいにお客様を大事に思ってお迎えしていますよという亭主側の気持ちです。
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月見の宴をイメージして、花は鼓の胴に入れました。昔、長唄の鼓の稽古をしていた時の物です。何でも置いておくと、お茶で役に立つことがあります。(^_-)
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夕飯には時間がありますので、風炉ではありますが先に初炭手前を。お客様が預かってくださった香合。可愛いでしょ。これがしたくって、バリ島のこけしを加工した兎香合です。
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懐石は、少し軽めにご用意するものですが、やっぱり心づくし。
向付はヒラメの昆布〆菊花和え、汁は薩摩芋、鳴門金時です。
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煮物椀は、月真蒸に松茸、菊菜、芝に切った柚子を添えて。そうそう、兎の形に作った車海老も入れてしまいました。
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焼き物は秋鮭利休焼き、強肴は焼き椎茸、梨と菊菜のみぞれ酢和え、八寸は、秋刀魚のケシの実まぶしと枝豆です。湯斗と香の物をお出しして、この時に、ほっこりおなかと心があたたかくなるようなお料理が茶懐石です。
主菓子は、兎上用饅頭。これも水屋コースの皆さんの手作りです。
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中立では、露地に蝋燭。27日には鐘を打ち残して、手燭の交換もしていただきました。昼間で蝋燭の風情がない分、いろんなことをしてもらおうと。
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後入りの床には、墨跡。「吾心似秋月」大徳寺 高桐院 剛山 和尚の書です。手燭を添えています。
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短繋と手燭の灯りで濃茶、続き薄茶。稽古茶事ではありますが、四畳半茶室では、みなさんの心が寄り添うようで、暖かな気持ちがいったりきたり。たぶん、むつかしいことは言わないでも、茶事の何たるかが、皆さんには理解できたことだと思います。
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待合から、腰掛待合、露地、初入り、後入りと、シンフォニーのように道具組をしてゆきますが、本日は、月と兎の意匠を重ねることで、主題を感じていただきました。
仏性の悟りである「帝釈天と兎」のお話もさせていただきました。
美しい、そしてちょっと物悲しい、月を待つ茶事。
お楽しみいただけたら、幸いです。
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そうそう、27日の正客様から、床の花にしゅうめい菊が入っているのを見つけて。しゅうめい菊の花言葉を教えていただきました。なんと「忍耐」だそうです。勉強会のことゆえ、何かとおめだるい点も多々あったことと思いますが、どうぞ、こらえてくださいね~~。これ、使えますね。(^_-)
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6月の塚口真庵茶事勉強会 飯台の茶事のアレンジで

2016年07月10日 01:55

水無月の塚口真庵茶事勉強会、ご亭主役の方が二日とも素晴らしくて。
真庵の庭の風情も素晴らしくて。
懐石料理が自分で言うのもなんですが、とても良い献立になりました。
体調が万全ではなかったので、頭ふらふらしながらの開催でしたが、師匠から、命を懸けるくらいの気持ちで茶事には取り組みなさい、四畳半の茶室の中には禅寺の七堂伽藍が入るくらいの大きな茶事をしなさいという言葉を思い出しながら・・・。伝えられたお茶の心を少しでも皆さんにもお伝えしてゆきたいと。
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田植えの終わった田んぼの稲たち、小さな生き物たち、そして、私たち人間にとっても、恵みの雨。慈しみ深く振る雨に、心もすっかり洗われます。
ご参加いただいた方から次々に届く、お礼や感想のメールを読みながら、昨日今日とゆっくり過ごして、体力も気力も戻ってきました。

「ご用意いただいたプラチナ箔のお棗が、私には、蓮の葉に集まる雨粒の光のようにも見えて、とっても清らかで涼しげで、そして尊くて、この世の美しいものの代表のように感じました。
少し離れて眺めていると、プラチナにうっすら木目が透けて見えます。その木目の流れも美しく、丁寧な職人さんの手技と愛を思い、うっとりしておりました。」
メールの一部を引用させていただきますが、このように感じ取ってくださって、なんてうれしいことでしょう。この方は、翌日の早朝に自転車を走らせて蓮の花が開くのをご覧にいかれたとのこと。蓮池に蛙が乗っている水指と棗、たぶん、お床の「行雲流水」 花入れの魚籠、タピオカの雨粒を閉じ込めた主菓子「雨音」、水と魚の干菓子などが繰り広げる、雄大な自然、そして循環などのイメージが、茶室いっぱいに広がっていたせいでしょうか。
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茶事の道具はすべてお客様のためにご用意します。一つ一つ、心を込めて。貧乏茶人なので、高価なものはご用意できなくて申し訳ないのですが、それぞれの道具が語り掛けるものやことを、心に泊めていただければ幸いです。
以前に、峯風庵の気軽な500円茶会にいらした方が、見るべき道具は何もなかったとFACEBOOKに書かれて、ため息ついたことがありました。道具の向うに何を見るかは、客人の力量でもありますよね。(^_-)
ちょっと気分のだれるこの季節には、見立ての茶道具を使って、ちょっとハッとしていただく工夫も。でも、見たとたんに見立てとわかるくらい奇抜なものや気をてらったものは、ちょっと考えもの。今回は、以前、京町家の活性の仕事で、バリ島の見立ての茶道具などを扱う「茶飯(チャハン)」というお店と「数寄好き(スキスキ)」というギャラリーをしていた時の名残りのもの。
露地の煙草盆と火入れ、水指、茶入、魚籠の花入れがバリ島の雑貨です。
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恵みの雨とはいえ、梅雨時は少しうっとおしい気分になることも。懐石で時間をとってしまっては濃茶まで気持ちがだれてしまいます。6月にはいつも伏せ傘懐石にして、飯替え、汁替えを省略しますが、今回は飯台の茶事のアレンジで、四つ椀を重ねて持ちだし、向付も取り回し、かないろで汁も取り回し。汁椀の蓋が杯になるので、お酒もたっぷり召し上がっていただけます。秋田から「高清水」という耳に清かなお酒を取り寄せました。
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茶事の勉強会では、私も学ぶところが多いのですが、今回は点前について、考えさせられました。プランナーなので、茶事の世界を作るのは得意ですが、日ごろ点前稽古をしていないので、口であれこれ言うのはできても、自分では実は点前が苦手です。
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26日の亭主役の方の点前は、どこまでも誠実で優しい点前。28日の亭主役の方は、スカッとキリッとした潔い点前。いずれも、素敵で、勉強会なのであれこれ解説を入れるのですが、解説を入れないで、亭主の点前だけで茶事を進行してみたかったです。
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茶事が終わって、亭主の美しい点前が一番心に残ったというのは、茶事では失敗だと師匠にはよく言われていました。点前はあくまで手段であるので、茶事の本質を差し出すこと。なので、見せることを意識した点前は厳禁で、自然に流れるように~~と教えられましたが。やはり美しい点前は、見ていて気持ちがいいものですね。私も、もうちょっと精進しなくては。(-_-;)
台所や半東さんも、皆さん腕を上げていかれて、うれしい発見でした。
私の体調を気遣って、頑張ってくださったということもあって、皆さんのお気持ちが、とてもありがたく感じる茶事の勉強会でした。
6日のじないまち物語・狐伝説 夕去りの茶事と同時進行で準備を進めていましたが、これで、6日に向けて集中して心を込めてゆくことができます。
茶事は、本当に素敵で楽しいことですね。
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塚口真庵茶事勉強会 茶飯釜の茶事

2016年03月08日 00:09

今年も寒い季節に、心温まる茶飯釜の茶事の勉強会を開催することができました。
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今年はお水取りの世界をご用意しようと思っていました。
一番うれしかったのは、仏の供養に、須弥壇に供える散華ができたこと。
今年は椿が少なくて、花托鉢をしても少ししか集めることができませんでした。
ご縁というのか、お茶の神様のご加護なのか、茶事の当日には、いろんな種類のとても美しい椿をたくさん届けてくださる方がいて・・。
ご参加の皆さまに、美しい散華の光景を目に焼き付けていただくことができました。
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初座の床には、黄檗山 行朗和尚の墨跡「心明似鏡 願深如海」をかけました。菩薩さまは、鏡のように曇りのない心で、衆生を救いたいと、海のように深い願いをもってくださっているという、ありがたいうお言葉です。
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奈良東大寺二月堂で執り行われるお水取りは、正式には、十一面観音菩薩悔穢といい、二月堂のご本尊の十一面観音に懺悔をし、天下安穏、五穀豊穣、万民快楽などを祈る行事で、1250年以上も毎年かかすことなく続けられている行事です。
本行は3月1日から14日までですが、2月から準備のためのさまざまな行がおこなわれているそうです。大きなお松明が振りかざされる中、俊敏に走り、激しい五体投地の行を行う、連行衆の祈りを、ありがたいと思います。私は宗教は持ちませんが、宗教を生み出した人間の思いを愛しく、感じます。

茶飯釜の茶事という楽しくて、砕けた茶事にはテーマが重すぎると思われるかもしれませんが、茶飯釜はただ楽しく、酔狂な茶事ではないと、私は思っています。
茶飯釜には「飢来飯」「渇来茶」という文字が刻まれています。おなかがすいた方にはどなたにもご飯を差し上げましょう、のどが渇いた方にはどなたにもお茶を差し上げましょう。菩薩の心に通じるものがあります。
お茶は自身の楽しみにとどまらず、人や社会を思い、自身の持つ能力を最大限に生かして。自身のためにも他人のためにも能く生きるというのが茶人としての生き方です。茶室の中だけがお茶ではなく、茶室で磨いた感性や知性や優しさは、社会の中でちゃんと生きなければ・・・。お茶の啓発活動をライフワークにしている私の祈りです。

さてさて、21日23日と二日間開催させていただいた茶飯釜の茶事。両日ともに美味しいご飯が炊けました。いつもより多くの炭を入れ、主客で力を合わせて火吹き竹で風を送り、炭の火力を上げると、しばらくすると釜の中でゴトゴトとお米の踊る音が聞こえます。吹きあがったら、鎖を上げて火加減をして、湯気が収まったら、ご飯の炊きあがりです。出来上がったご飯は、天地の恵みの象徴のように、茶室の中に現出します。感動的です。一口召し上がっていただければ、その美味しいさにびっくりされます。
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ご参加いただいた方から、こんな素敵な言葉をいただきました。

「たくさんのお炭をついで、日本人の命の糧となる水と米を炊く。
米という食材から「ご飯」へと生まれ変わる瞬間を
皆で共有できるということは、
美味しいとか風情があるだけでなく、
自然からの恩恵を、直球で勝負されているようで、
大きな意味があるなぁと感じました。」

こんな風に感じていただけたこと、とてもうれしいです。

ご飯が美味しいのは、お米も炊き方もですが、そこには、亭主の心がこもっているから。茶飯釜では、亭主が水屋に下がる時間が少なくて、茶室でいろいろに気働きしますので、客はその姿に、ありがたさを感じます。いつもの茶事以上に。これは茶飯釜ならではのことかと思います。

ご飯の炊ける香りを楽しんでいただくために、香は焚かずに、床に香合を飾っていたものを、ご飯が炊ける間にご覧いただき、次に膳を持ち出します。

お寺の行事にちなんで、向付は精進にして、生湯葉と焼き椎茸と三つ葉に加減醤油をかけて、季節の蕨を添えました。先に、八寸とお酒もおすすめしました。若狭から、二月堂の閼伽井屋の井戸に水が送られ、香水として仏に供えられる行事がお水取り。八寸には、若狭カレイをご用意しました。お酒は奈良から取り寄せた梅の宿の大吟醸です。汁は、金色という口付の鍋を、釜を下した後にかけ、温まったらとりわけます。煮物椀は、二月堂におわします日光菩薩・月光菩薩にちなんで、日月椀を使いました。春の訪れを感じていただけるよう、貝柱真蒸にウドと蕾菜を添えました。焼き物は鰆。強肴は、汁の後に鉄鍋をかけ、熱々をお出しします。芹の香りもご馳走です。
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主菓子は蓬をたっぷり入れた、銘「若草山」。水屋コースの方々の手作りです。

後座の床に、椿の散華。
濃茶や薄茶の道具組は、初座の少し浮ついた気持ちを引きずらないように、また、床の花を生かすために渋めに取り揃えました。
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お水取りにちなんで、釣瓶の水指、濃茶の茶碗は井戸です。茶杓の銘は「お松明」。茶入は少し時代のある膳所です。

茶飯釜をすると後炭が楽しみです。普段は胴炭が残ってなかなか輪胴が入らないのですが、火吹き竹で吹いた炭は、すっかり痩せていますので、道炭を割って、輪胴が入るスペースを作ります。輪胴は表面積が大きいので、すぐに火が移り、パチパチと火の粉を上げます。「ああ、まるでお松明を見ているようだ」と、お客様。こんな反応が、茶事らしくて好きです。
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関西では、奈良のお水取リが終わると本格的な暖かな春がやってくると申します。
薄茶では、水ぬるむ春の、水の落雁、春の芽吹きの州浜の蕨の干菓子。
棗は、黒が美しい面取り棗、石斎の作です。主茶碗は、赤膚の奈良絵茶碗、二楽 作。替は、鉄鉢の形をした 淡路焼 玄心 作。もう一椀、加藤春二さんの柳を。
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今回も、私が一番楽しませていただいたようですが、四畳半茶室の釣り釜の風情は、とてもここちよく、3月にも続いて、釣り釜にて正午の茶事の勉強会を開催させていただきたいと・・・。基本の正午の茶事を、ゆったりと落ち着いた雰囲気で楽しんでいただければと思います。ぜひお付き合いくださいませ。
3月27日(日)29日(火)、客としてご参加してくださる方各5名様、亭主、半東、台所役の勉強をしていただく水屋コースも各5名様、募集します。水屋コースの方も、懐石フルコース召し上がっていただけますし、後座からは一緒に席入りして、濃茶、後炭、薄茶、そして、私のお茶話をお聞きいただきます。
桜の季節の到来~~。さて、どんな世界をお届けできるでしょうか。

四畳半茶室・真庵での開炉正午の茶事勉強会レポ

2015年12月07日 15:50

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月が替わって師走となりましたが、霜月11月は茶人の正月。炉を開き、山で半年寝かせた茶壺の口を切り、茶人の一年が始まります。今ではお茶の保存も容易になり、山で寝かせることはしなくなりましたので、私は稽古のための稽古茶はしないので、口切の茶事はしないことにしています。なので、11月は毎年、開炉の喜びの茶事です。今年は29日と30日に真庵の茶事勉強会として、炉開きをしました。
お茶の世界では、旧暦10月の亥の日に炉を開く風習があり、今年は11月19日。
中国から伝わった茶は風炉でしたが、囲炉裏から考案された炉は日本独自のもの。火をまじかに見ながらのお茶は、本当に心温まります。
炉を開く喜びを皆さまとご一緒に、ぜひ、風情ある四畳半茶室の真庵で開催させていただこうと、腕と膝の骨折を、この日に照準を合わせて治療を続けました。なんとか、皆さまに助けていただいて、開催できたことがとてもうれしいです。少し遅めの日程設定にしていて、幸いでした。
自身で茶事をするようになって、もう20年あまりになりますが、同じ炉開きでも、毎年、環境や自分の気持ちも変わります。今年は今年の開炉の世界をと、長くご参加いただいている方にもいつも新鮮な気持ちになっていただけるよう、心を込めて準備をしたつもりです。

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終了後には、早くも、ご参加のほとんどの方からメールや筆文字のお手紙をいただきました。勉強会でもあっても、ご参加の皆さまからの礼状での茶事への感想や思いがにじみ出た言葉が、私の一番の楽しみです。そのなかに、「おめでとうございます」の文字を見つけて、感慨深く、ありがたく・・・。茶事は簡単にはできませんし、簡単にしたら深みのある茶事にはなかなかならないもの。この日のために準備を進め、体調も整えて、無事、茶事の日を迎える。この日を迎えられたことをめでたいと、お客様はお包に「お祝い」と書かれることがありますが、開炉のめでたさとともに、茶事ができることの喜び、めでたさをかみしめています。
今年の秋にいいお出会いがあって、真摯に裏千家のお茶の道を歩んでいらっしゃるお姿に、感銘を受けました。半年ほどお休みをいただいていた真庵の茶事勉強会の復活、また、茶人の一年の始まりにふさわしい世界をと、裏千家の鵬雲斎大宗匠が提唱されておられる「一碗から、ピースフルネスを・・。」を茶事の中で表現できたらと思いました。フランスでの悲しいテロもあり、改めて、平和への願いを深く心に刻む茶事にと、願って。
(写真は二日間の物をランダムに紹介しています)

真庵の露地(和の庭とイングリッシュガーデンがミックスされた真庵オーナーさんが丹精込められた庭です)の木々も紅葉して、私たちを迎えてくれました。
待合の掛物は「和」の一文字。小さな地球儀も飾りました。汲み出しは若松文様、喜びに通じる「昆布茶」を用意しました。
腰掛待合に進んでいただき、迎付け、蹲を使ってお席入り。

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初座の床には、「萬山寿色」、東大寺の清水公庸和尚の墨跡です。10年前に50歳の若さでこの世を去ってしまわれたのが残念です。のびやかに、力強く、すがすがしいお筆です。この日のためにと、今年の夏に求めていたものです。お茶の道具は自分のためではなく、お客様のために整えます。山々が赤く紅葉したこの季節、寿ぎの色に染まっているという、素敵な語です。

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寿棚には、富士山の形のつまみがついているブルーの水指を飾っています。富士は日本一の山。和は、相和す、なごむ、和らぐ、そして、日本という意味があります。和の文化の集大成である茶道を通じて、日本から戦争のない、また人々の心が平らかに穏やかにでいられる、そんな世界の実現に向けてのメッセージを送りたい、茶室の中だけのお茶ではなく、お茶の心が何かのお役に立てるような、そんな生き方をしたい・・・。

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一人一人のお客様とあいさつを交わし、炭をつぎます。炉の大きな炭に驚きの声。
少し早いかなと思いましたが、霰の釜を用意しました。香合は、磨崖仏をそのまま切り取ったような、千手観音菩薩像を掘り込んだもの。手に縄や鈎などを持って、どんな事をしても衆生を救おうとするお姿が、ありがたい菩薩さまです。

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懐石は開炉の喜びを込めて、いつもご馳走なのですが(^.^)、とりわけご馳走で、皆さん喜んでいただきました。(*^^*)

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特に煮物椀の海老芋真蒸は、絶賛。お客様の笑顔を見て、とても手間暇かかるお料理でめったにしない椀物ですが、頑張ってよかったな~~。
お酒は金沢の地酒「風よ水よ人よ」という銘柄です。なんだかジンとくるお酒です。

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お菓子は、菓子椀で善哉。開炉ならではの柿と栗のお話もさせていただきました。お料理には栗を使いましたので、柿はお菓子に添えました。添えの赤箸を半分に折って菓子椀に入れて返すというのも、、濃茶のお菓子としてお出ししているので塩昆布など辛いものはつけないというのも、あまり知られていないようで、きちんと説明できてよかったです。

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後座の床には、11月ならではの照葉と椿。きれいな照葉が手に入ってうれしかったのですが、名前を聞いたのに忘れてしまった。(-_-;)

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煮えのついた釜から立ち上る湯気が気持ちよく、釜もよい音を立ててくれています。
濃茶のお茶碗は、白萩の大徳寺呉器写しです。秀吉は、謁見を求める朝鮮の大使たちをいつまでも大徳寺に留め置きました。気の毒に思った利休が大使たちのお世話をし、朝鮮に帰るときに大徳寺に残していったお茶椀が、このぽっこりした形の呉器でした。後に秀吉は朝鮮出兵をしますが、負け戦に。その時、利休にもてなされた大使たちが、退路を作って、兵を日本に返してくれたという逸話がこのっています。「一碗からピースフルネスを」は利休も実践していたのだなあと思い起したりしていました。

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後炭では、赤くいこった炭の火が、ため息が出るほど美しくて。炉の周りに寄り添う主客の風情もいいですね。香は裏千家当代のお好みの鳩居堂の座雲を使いました。やわらかくて優しい香りです。

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薄茶の棗は、玄々斎好みのあけぼの棗。あまり好みの道具は使わないのですが、このあけぼの棗の意匠は大好きです。主の茶碗には、南蛮人。替えには鎮守の森、松島茶碗。
蓋置は、白菊。戦争やテロで命を落とされた方への手向けの花です。

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すべては書ききれませんが、道具一つ一つに、物語をしてもらって、茶事を進めました。二日間の開催でしたので、それぞれ亭主役やお客様が違うと、同じ茶事でも、日によって、創造される一期一会も変わってきますが、両日ともに、楽しい茶事になりました。少し重たいテーマ性は、ちょっとどこかに飛んで行ってしまったようですが、お一人お一人、何かを感じたり、気づいたり、考えたりするきっかけができていたら、うれしいことです。水屋コースもみなさんも、私の骨折を気遣ってくださって、目いっぱい頑張ってくださいました。
みなさんに感謝です。
一碗の暖かいお茶をいただいて、心が満たされ、平らかになってゆくのを感じます。戦争のない平和な世界は、一人一人の人間の心が平らかであること、お茶が目指す真善美(物の考え方が真であり、行動の規範が善であり、命輝くさまを美ととらえ、美を以て心豊かに)を求めて生きることで、実現されると信じています。

次回の風情ある四畳半茶室真庵での茶事の勉強会は、2月に釣釜で茶飯釜の茶事を開催させていただきます。茶釜でご飯を炊いて懐石に、その釜を改めて、お茶のための湯を整えます。ちょっとピクニックの飯盒炊飯みたいな楽しい茶事です。どうぞ、お楽しみに。

五月の塚口真庵茶事の勉強会 レぽ

2015年05月27日 14:31

五月の塚口真庵茶事の勉強会、真庵での茶事はひょっとしたら最後になるかもとの思いで、取り組ませていただきました。人生は何が起きるかわからない、どう転ぶかはわからない。茶事の一期一会は、いつもこれが最後かもと思いつつ開催していますが、今回は、なお一層、その思いが強かったのですが・・・。
ご参加の皆様に、ぜひ早めの再開をとお言葉をいただき、また、この茶事で私も多くの感動をいただき、やっぱり四畳半という方丈の茶室での茶事はいいなあと、仕事もしっかりがんばって、いつ再開できるかどうかはまだわかりませんが、必ず戻ってこようと思います。

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茶事はやはりその場に居合わせなくては、こころで感じることはできないのですが、参加したくても、いろいろご事情をかかえていらっしゃる方も多いと思い、私の茶道の啓蒙・啓発活動の一環として、詳細のレポをしてきました。

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今回は、素晴らしいご参加の方々に恵まれ、私がご用意させていただいた世界以上に、さまざまに感じ取ってくださったことがうれしくて。
私の言葉より、一層、こころに響いていただけるのでは思い、ほんの少しづつですが3名の方の感想を引用させていただきます。3名の方どうぞ、御許しを。


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命あるモノをテーマにされた今回は、全ての息吹がみなぎるような季節と重なり、
今までとは全く違う印象を受ける茶事となりました。
心に残る思いも、とてもさわやかで、躍動感を感じています。

私たち人間も、この命ある動物、植物のなかで、水の流れや大地の恵みを受け、
宇宙のわずかな時間と空間に生きるのだと実感できました。
一期一会の結びつきを大事に、一回ずつ創意工夫を凝らされて催される茶事の世界を十分に堪能させていただくことができました。

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蓋置き
お色といい、稲の束ねた型といい今の季節にピッタリ
懐石を頂く一番が
五穀豊穣に感謝し先ずは、ご飯を一口頂くのですよ
と、以前お話し下さいました
ご飯あっての民族ですもの
小さな小さな蓋置きで表現された事に脱帽です。

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真庵という場や、懐石、様々な道具の取り合わせによって、
日々の中では何気ないものに光があたり、
生き物たちの発するエネルギーをいただいて、
元気を得たように思います。

そして今日、また森さんのお話の中での
灰型を整えるしわ寄せ、と、建水のお話。
本当に、社会には、常に光が当たる花ばかりではないですね。
必ず、暗な部分を引き受ける役割がある。
その存在に心を寄せられるかどうか、
想像力のありなしが、
社会の様々な問題に通じているのだと思います。

大切なものはすべて茶の中にある、と改めておもった日。
しばらくお休みになるだけに、
印象深い教えをいただけた気がします。
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